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虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
不思議な街の地下非業

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革命 その01



 あれから数日が経過した。

 闇厄街のあちこちをウロウロとして時間を潰し、さまざまな情報を集める日々だ。


 仕掛けをできるだけ施し、俺の望むままに未来が改変するための準備を行った。

 もちろん、英雄たちの行動が誰も不幸にならないように動けるならばそれでもいい……だが人間の価値観の違いは争いを生み、思想の違いが見境を生む。



「──この日がやってきた。我らの信念を貫き、真なる自由を手に入れるために立ち上がる日が」



 英雄は広場のような場所で、演説を行う。

 偽装用の魔道具によって声に違和感があるはずだが、それでも彼女の声は勇ましく響き渡り、同志の心へ浸透していく。


「どれだけの時間を、この地で過ごした。どれだけの苦渋を、この地で味わった。どれだけの死別を、この地で起こした。……そんな日々を、今日終わりにしよう」


 背中に背負った槍のような物を掲げ、息を吸って高々に叫ぶ。


「さぁ、武器を掲げよ! 昏い闇を我らの光で照らし、安住の地を手に入れよ! 英雄の名の元に誓おう、勝利は我らにあると!!」


 そしてこの場に響く大歓声。

 英雄の光に魅せられた者たちはその言葉に惹きつけられ、昏いこの世界でも分かる程に輝く瞳を手に入れる。


「……やれやれ、饒舌だなー」


《記録しました。旦那様が演説を行う際は、英雄の話術も組み込んでおきましょう》


「なんか、アレは天然な気がするけどな。これまでのすべてが演技だったならともかく、あれに悪意は無かった。『SEBAS』はどう思った?」


《演技では無かったでしょう。ただ、そうした挙動を完全に制御する『賭博』の権能もありましたので、完全にその可能性がゼロとは言い切れません》


 そう言うのであれば、そうなのだろう。

 俺よりも『SEBAS』の方が、科学的なアプローチによって挙動を見抜く。

 すでに『賭博』の権能をコピーし、こちらの法則を用いての暴き方まで知り尽くした至高のAI。


 さてさて、そろそろ演説も終わるだろう。

 英雄の叫びは強い想いを伝え、最終的な判断を鈍らせていく。

 そしてこの場の意見は一つに纏まり、集団としての力を英雄は手に入れる。


「……英雄の力は決起の力。誰かが一人で動くより、団体で動くことで強大な力を獲得する。統括するだけの、采配を行うための力こそが英雄の本質」


 かつて【魔王】に尋ねた、有名な職業が持つ能力の一つ。

 だが英雄の詳細は千差万別、誰のための英雄かどうかで一部仕様が異なるそうで……はたして、彼女はどういう能力を持っているんだろうな。



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