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闇厄街 その08



 移動の最中に細かいことは誤魔化した。

 嘘偽りのない人間についてどう思うのか、それを訊ねてみればすぐに終わったぞ。


「……それで、どうなんだ」


「なるほど、そういうことですか」


「…………おい、だから早く言え」


 いやいや、どうして責められるのか。

 英雄の冷たい視線をスルーして、俺は魔道具を逐一チェックする。


「どうなってる?」


《漏洩はありません。結界の魔道具は、正常に機能しております。品質は、旦那様が御作りになられるものが優れていますが》


「ってことは、やっぱり内部犯か」


 ボソリと呟き『SEBAS』と会話をし、調べているものについて探っていく。

 精密な情報を俺が分かるわけないので、いつもながら『SEBAS』にお願いした。


「なら、内部犯を探さないとな……」


《魔道具による探索もできますが、どのようにして?》


「主人公だったら、カッコよく推理物を始めると思うんだが……まあ、簡単にできる方法で見抜くことにしよう」


《畏まりました。補助はお任せください》


 とりあえず、ここで会話を終了する。

 長くやっていると英雄に怪しまれるし、話し合うことで纏まったアイデアをさっそく実行するとしようか。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 ──結論から言おう、すぐに見つかった。

 目の前で、密偵として判断された存在が拘束されている。


「は、放せっ! 俺は無実だっ!」


「君……だったのか。私たちの情報を送っていたのは」


「ち、違います! 英雄様、俺の話を聞いてください!」


 いやー、頑張って説得しようとしてるな。

 俺の魔道具の信頼は、すでに犯人がこれまで得ていた信頼を超えている。


 社会においても信頼とは重要で、一度失えば二度と手に入らない代物だ。

 無理にでも得ようとしてもそれは得難く、決してすぐには取り戻せない。


「嘘偽りを見抜く魔道具と、後ろめたいことがある者を強く照らす魔道具……さて、ご購入していただけるのでしょうか?」


「……こんな形で、有用性を知りたく無かったがな」


「人間が集団となれば、このようなことが起きることなど仕方がないことです。彼にも彼の理由があるんでしょう。それが貴方がたが許せる理由であれば、許してあげてもよいのでは?」


 商人として、優しさもなければダメだし。

 ただただ冷酷な存在ではなく、人情を理解できなければ一端にはなれない。

 ……理解するだけで、それをどうするかはまた別の問題だけどな。


「……連れていけ。できるだけ丁寧に、こんなことをした理由を吐かせろ」


 そして、間者は運ばれていく。

 願わくばそれが、英雄たちにとって許せる理由であるように。



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