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闇厄街 その04



「──ここが、私たちのアジトだ」


「これはこれは、なんとも凄い場所で」


 暗躍街は観光スポットなど、楽しめる要素が多い場所だった。

 だがこちらの街──『闇厄街』というらしい──は少し違う。


 いわゆる、関係者以外立ち入り禁止系の場所であろう。

 見た目ではなく実益だけを考えた、計算され尽くした舞台裏だ。


「少し、狭そうに見えますね」


「実際には空間属性の付与がされていて、住むには充分の広さが確保されている。今から君を住ませてもいいのだぞ?」


「それは個室ですか?」


「いや、共同だ。個室もあるにはあるが、別の用途に使うことが多くてな」


 共同住宅か。

 男なら夢はマイホーム。

 地球においてこれは定番中の定番だし、いちおう俺もマイホームの男だ。


「別の用途……ですか?」


「ああ、決起のために必要なアイテムを置いている。ただの物置では盗難があってな、以来そうしているのだ」


「なるほど、広い場所である一人用の部屋がちょうどいいと」


 爆弾みたいなもんだからな。

 俺もアイテムの管理は『SEBAS』に任せ、厳密な形で保存してもらっている。

 ポケットの中に入れているようで、ちゃんと安全処置はしてあるんだぞ。


「……では、英雄様も共同生活を?」


「わ、私か!?」


「ええ、そうですよ。偽装の魔道具で性別が分かりませんが、性別の問題でわざわざ他者と距離を作るような方ではありませんね?」


「…………そ、そうとも! わ、私だって共同部屋で過ごしているとも!」


 ああ、うん……してないな。

 百歩譲ったとしても、共同部屋なのに住人が独りというオチだろう。


 後ろの皆様も『あーあ、やっちゃった』みたいなポーズをしているし、ここは畳みかけた方がいいか。


「そうですか。では、少しお話ししたことがありますので……どこか、盗聴の心配の無い場所はありませんか?」


「ああ、それなら私の……んっ!」


「私の、どうかしましたか?」


「い、いや! なんでもない。それより、そうした部屋ならある。そこに案内しよう!」


 自分の部屋、と言おうとしたのか?

 俺としてはまず執務室のような場所に行ってから、その後部屋の話に誘導しようと思ってたんだけど……手間が省けたな。


「後ろの部下の方々、私たちといっしょに行きますか? 知りたくないモノまで、知ることになりますけど……」


「──全員、解散しろ」


 動揺の声を上げる部下の皆様、しかしまあ正解であろう。

 少なくとも、俺以外の『超越者』を相手に会話を行うならな。


「……言うことを聞く。だから、私の部下に何もするな」


「ええ、元からその気ですから」


 うーん……俺は悪人って疑われてるのか?

 少しばかり自信が失われてきたよ。



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