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チップ泥棒



「脱出はあっさりとできた。案外、気づかれていないもんなんだな」


 さすが、『SEBAS』によるハッキングの技術だよ。

 エレベーター系の設備もあったが、それは使わずに行きと同様に階段を使用。


 行きと同じ方法で帰ったのだが……本当、対策はどうしているんだろうか?


「──さて、少年にまた頼むわけにはいかないからな。別の領域はどうしようか」


 少年はあくまで、情報ギルドがあるこの領域専門の道案内だ。

 それ以外の領域には行かないだろうし、渡したお金できっとやりたいことをやっているだろうしな。


「次は……ここに行こうか」


 先ほどのタブレットに、この街に関する情報を『SEBAS』が纏めてくれた。

 重要人物が居ると思われる場所を推測し、地図に表示してくれる。


「道案内、よろしく頼む」


《畏まりました》


 タブレットに音声を出す機能はまだ無いので、『SEBAS』に頼んで正確な道案内を頼んでおく。

 少し時間がかかりそうだ……その間に、何もないはずだよな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


「だだ、騙されたぞ! き、君が『超越者』なんじゃないか!」


「……はて、なんのことでしょう」


「何が自分のような弱者、だ! 何がカジノの儲けを支払います、だ! 何がどうかお許しを、だ! 本当は慈悲を求められて応えた私たちを、嘲っていたんだろう!!」


 目の前で涙目の少女が俺を叱っている。

 どうしてそんなシチュエーションになったかを思い返してみれば、それもすぐに思いだせる。


 歩く→ちょっと路地裏→ここ。

 ……前回以上に、唐突だな。


 布で包んだ槍、認識偽装を施した顔、そしてそれを超えて映る女性の姿。

 彼女こそ、この街で動く英雄だ。


「おい、どうにか言ったらどうだ!?」


「……の」


「?」


「私のチップを持っていかれましたよね? 結局お金が必要なところを見ると、私もお役に立てて光栄ですよ」


 うん、土下座をして彼女たちとのファーストコンタクトを避けたわけだが、頭を上げたときには金を入れた袋が無くなっていた。

 そんなことがあったので、俺は少年にスッと金を渡したわけだ。


「……おい、どういうことだ? 私はそういうことはするなって言っただろう」


「まあまあ、落ち着いてください。後ろの皆様は私の正体に気づいたうえで、演技を見せられた分の代金を貰っていっただけです……そうですよね?」


 俺の適当なサポートを受け、英雄にギロリと睨み付けられた部下たちは高速で頭をシェイクする。

 最初からあげようとして用意した金なのだし、気にしてないからさ。


 ──貧乏人に金を恵むのも、金持ちの義務なのかもしれないな(適当)。



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