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応急措置



 そして、数時間が経過した。

 いやはや、スリに道具を盗まれかけるだけで死ぬなんてビックリだったよ。

 相手の方も、いきなり盗もうとした対象が消えるんだから驚きだよな。


 うん、虚弱スペックが半端ない!

 どうやらこのゲーム、攻撃で無くともHPが削られるみたいだ。


 いやいや、タクマにもそんな情報教えてもらってないんだけど。

 タクマめ……俺のこの虚弱体質を知っているのだから、この展開は知っていただろう!


 当てられるだけで死、転ぶだけで死、そんな風に何度も何度も死に続け……なんだかスヘ°ランカーよりも、死の経験を繰り返した気がするよ。



 ちなみに、死亡条件に自然現象は一つも含まれていない。

 風が吹いても死なないし、太陽の光を浴びても何も起きなかった。


 ただ、プレイヤーが咳をしたら死んだ。

 そういったことから察するに、人が関わった場合のみ俺は死に戻るのだろう……非常に不味いよな。

 このままだとお釣りを貰うだけで死ぬ──なんてこともありそうだ。


「ハァ……そのくせ、非殺傷結界なんてものが街に搭載されているらしいんだ。俺、街で死んでるのにそれって効果はあるのか?」


《おそらくその結界、ダメージを別のものへと変換する機能があるのでしょう。旦那様にはその変換されたものに耐えるだけの力が無いと判断され、死に戻りしたのかと……》


 と言うわけで、現在俺は『SEBAS』と作戦会議を行っている。


 死に戻り系の称号も極めてしまったので、さすがにどうにかしないとと思うようになったんだよ。

 叡智を極めた『SEBAS』ならば、俺に何か知恵を授けてくれるかもしれないしな。


「いや、デスペナが無いから俺は別に構わないんだがさ、俺は普通の枠から外れているとよく分かるんだよな」


 今までランダムプレイを行ってきた俺なのだが、ここまで運営の想定から外れたことはないだろう。


 だって、プレイヤーが息を吹きかけただけで死ぬんだぞ?

 誰かが大声を上げても死ぬんじゃないか?


《はい、死亡と判定されるかと。鼓膜へのダメージとして認識されますので》


「マジかよ……」


《五感に訴えかけてくるものすべて、それに当て嵌まると思われます》


 つまりだ、イイ匂いを嗅ぐのも光を見るのも物を食べるのも美声を聞くのも触られるのも……全部駄目なのかよ!

 こっちの世界なら、そんなことにはならないのにな。


 いちいちダメージ変換が行われる前に、溜め込んだ魔力が危険な時は防衛してくれる。

 だからこそ、今までは普通に生活ができていたのに……。


《──ですが、一つだけ方法があります》


「……えっ、あるのか?」


《はい、これは旦那様のような方にしかできませんし、やりません。あくまで応急処置でしかありませんが……宜しいですか?》


「それでも、それしかないしな。とりあえずやるだけやってみよっか」



 今日という日は、もう少し死に戻りを繰り返した後──自由に街を歩けるための発明を行うことになる。

 今回だけは、:(Do)(It)(Youself):に当て嵌まるよな。


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