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情報ギルド その13



 ツクルの居なくなったギルド長室。

 渡された地図を眺めながら、【情報王】は怒りに震えていた。


「……この俺が、教えを乞う、だと? ふざけるな、ふざけるな──ふざけるな!」


 何を考えているか分からない、この世界とは異なる場所からやって来た休人。

 彼らは自分に縋り、その持つべきすべての情報を吐くだけの家畜……そのはずだった。


 それを嘲うように、ツクルは自分の知らない情報を提示し、必要の無い情報を対価にそれを教えた。


「この街を一番知っているのは、この俺のはずだ。アイツは、つい先日ここに来たばかりなんだぞ? アイツの手の者が潜りこんだとしても、それに気づけぬはずがない……いったい、どういうことだ!」


 いくら『超越者』とはいえ、【情報王】である自分以上の情報収集能力など信じたくもなかった。


 それができる『超越者』を知っているが、それでも能力の方向性が異なり、こうしてギルドとして情報を統制している自分に敵う者はいない……そう思っていたのだ。


「『拳王』と『賭博』の領域に行ったということは、すでに神代魔道具についても知っているはず。なのに俺のソレを訊かず、そのまま立ち去った……っ!」


 あることに気づいた【情報王】は、すぐに雇っていた配下に連絡を行う。


『はい。ご用件h──』


「あの部屋は、あそこはどうなってる!?」


『…………誰も入っていない、中に反応も無いとのことですが』


「そんなはずはない! アイツは、『生者』はここを出てからどうした!」


 とっくに知っている情報を、わざわざ訊きだす必要もない。

 考えてはいたが、思考に留めてもいなかったもっとも最悪な仮定を元に【情報王】は動きだす。


『す、すでに『生者』は情報ギルドを出て、別の場所に向かったとのことです』


「違う! アイツはまだギルドのどこかに自身の配下か何かを残している! そうでなければ、こんな短時間で俺に売れる程の情報など用意はできん! ──すぐに探せ!」


『……了解しました』


  ◆   □   ◆   □   ◆


 猛り狂う【情報王】の声に、男はそう答えて通信を切る。

 そして少しして……呟く。


「意外と早かったな。やれやれ、もう少し時間があると思ったんだが」


 先ほどとは異なる声で喋る男の容姿が、ジジジッと音を立てて変化していく。

 光が歪むように姿が剥げ、その正体を露わにする。


「『SEBAS』、どうなってる?」


「そうか。なら、頼む」


「俺はこっちの作業を進める。先に動こうとしたのはアッチだしな」


 一人でブツブツと呟くと、背後の扉にペタペタと触り──姿を消す。

 そこには何も残っておらず、ポツンと巨大な扉だけが残った。



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