表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
408/3048

情報ギルド その02



「あれが、英雄だったのか……」


「何か言った?」


「いえ、少しお訊きした情報を反芻しているだけですよ。……それぞれ有名な方々が、エリアごとに支配しているのでは?」


 少年から教えてもらった情報の一つは、とてもナウなものである。

 ──英雄が、【情報王】のエリアで情報収集や通常活動をしているといった情報だ。


 その者は正体不明、誰にも素顔を知られることなく活動している。

 槍を振るい、苦しむ者たちを救い続け、領域を持たない勢力の中でもっともメンバーの多い軍勢。


(認識偽装、槍のような武器……物凄く見覚えがあるというかなんというか)


 先ほど会ったばかりの、俺を『超越者』だと見抜いたポンコツさん。

 布で包まれた槍のような武器を背中に背負い、幾人もの男たちを従えるその姿……まさに英雄そのもの、だったのだろうか。


「けど、英雄も何をしたいか分からないんだよ。……ここだけの話、何か悪い噂があった人たちを襲っている。そこで集めた物を売ったお金で、俺たちみたいな貧しい奴に食料を恵んでくれるんだ」


「好い人ではないですか」


「ただ、何か条件を要求してくるみたいなんだ。会った人しか知らないけど、誰も教えてくれないし……怪しくないか?」


 まあ、英雄は軍を率いる者だ。

 自身の能力を強くするために、その条件とやらが関わっているのかもしれないな。


「そうですね……無償の善行というものは、なかなか存在しませんし。君はもし、英雄に会ったら……どうしますか?」


「うーん。金が貰えて、満腹になるまで飯が食えるならそれでもいいかな? 俺には兄弟はいないし、誰かのために稼いでるわけでもないからなー」


「大変そうですね……」


 他人事である。

 俺には兄弟がいるが、日本という裕福な環境で育ったのでそれを気にする必要はない。

 まあ、プレゼントのために少し小遣い稼ぎぐらいならあるけど……それはいいか。


「そうでもないぜ。これでも盗みは一度もしたことないし、そろそろ買いたかった物が買えるだけのお金が溜まるんだ!」


「おめでとうございます……これは、あとで銅貨三枚をしっかり払わないといけません。前払いで渡しておきましょうか?」


「……いいのか?」


「ええ、構いませんよ」


 ──金ならいくらでもあるし。

 すぐにメニューを操作して、銅貨三枚分の金額を下ろす。


「おじさん、好い奴なんだな」


「そう思っていただけて何よりです。できるなら、情報ギルドまでの案内はしっかりしてもらいたいですがね」


「ああ、分かってるさ! おじさん、俺は約束は守るぜ!」


 そう言ってもらえて何よりだ。

 少年から聞きたい情報は聞き終わっているわけだし……そろそろ目的地に行こうか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ