スリルな情報 後篇
「──なるほど、いろいろあるわけだな」
「そんな簡単に纏められると、俺もあの場所もなんだか虚しくなってくるぞ」
「お前の感情はともかく、暗躍街の思いまで代弁するなよ。俺の素晴らしき行動に感謝を述べて、きっとお宝をプレゼントしてくれるはずだろ」
迷路を攻略した証、それが地図だ。
ドローンたちが調査を行い、転移した先まで完全に網羅した究極のマップ。
一部であれば、【情報王】や【暗殺王】も把握しているだろう。
だが互いに干渉し合う結果、そのすべてを調べることができていない。
……実際、道を阻むように動く奴らもたまに居たしな。
「その自信、どこから出てくんだよ」
「情報は力に、そして切り札になる。地図が売れるというなら、俺は実際街の王になったというわけだ……配下はいないけど」
「お前みたいな王を崇めるのは、物凄く忌避感があるな」
まあ、いちおう王様と呼ばれているけど、その才はないからなー。
誰もいない場所で開拓ゲーをするならまだしも、統治ゲーは無理。
だからこそ、『ＳＥＢＡＳ』に代理を行ってもらったわけだ。
「英雄に、医者、商人ね……」
「細かいことは不明だけどな。あの街のすべてが分かってる奴なんていないんだからさ」
「俺の会った奴だけでも面倒臭そうだし、たしかにまだ居ることは称号の効果で把握してたけどさ……英雄っているんだな」
英雄──人殺しの別称であったり、誰かにとっての憧れであったり……まあ、なんだか凄い人ってことで充分だろう。
「まあ、たまにこっそり活動しているらしいぞ。大きく動けば面倒事が起きる、だから別の方法で狙う……特に英雄なんて、英雄らしく動いているそうだ」
「英雄らしい……革命か？」
「奴隷はいるし、非合法な取引もいくつか行われている。お前も気を付けた方がいいかもしれないぞ、なんせカジノで勝ちまくった大富豪様だからな」
たしかに高額を手に入れた……しかし、大富豪なのはアドベンチャーワールドに向かって数日以降、ずっとの話である。
そういった意味では、ある意味非合法な取引で金を稼いだわけなんだが。
「金で許してもらえるなら、いくらでも土下座して助けてもらうさ。まあ、わざわざ俺をピンポイントで狙うなんて無駄なこと、英雄様も考えはしないだろうしな」
「……お前、それフラグじゃ──」
「いや、それはないだろう」
……しかし、考えてみればなんだかフラグな気がしてきた。
無理に転移で攫おうとしてきたり、突然穴に落ちたり幼女の式神が迎えに来たり……割とありそうだ。
──うん、やっぱりフラグだったな。
