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カジノ その13



 スロットは的確に押せてもズレるし、ルーレットは軌道予測をしても若干のズレが起きているらしい。


 いや、イカサマじゃないんだよ。

 スロットの回転関係はともかく、ルーレットはディーラーの巧みなスピンがその事象を生みだしていたんだ。


「──だからといって、どうしてこんな展開になるんだか」


《申し訳ございません。どうやら『賭博』の影響下にある分、法則が通用しない部分があるらしく……》


「無理に稼ぐなら、こうするしかないと」


《アチラも、そうなることを想定してコントロールしていたのでしょう……そのことに至らなかった私の采配ミスでございます》


 俺は今、土に足を着けている。

 カジノらしからぬ場所ではあるが、先ほどまで共にゲームをしていた裏VIPの会員の姿は、バッチリ目に見える範囲にいた。


「悪くないさ。ただ、こちらの手の内をどこまで出すかってのが問題だよな……」


《『超越者』が把握しているのは、旦那様の不死性と休人としてのメニュー機能です。直接的に戦闘へ関わることではありませんが、利便性を通して使えば最低限の情報公開だけでどうにかなります》


「……アイテムだけでいけるかな?」


 歓声の中、ガラガラと何かが上に上がる音が木霊する。

 そしてその奥から、ノシノシと大地を踏みしめソレは現れた。


≪──今回の挑戦者は、まさかのお客様自身でございます! 『賭博』様自らお招きしたその名前は……ツゥウクルゥウウウウ!≫


 舞台のアナウンスが、俺の参加を周りの裏VIPたちへ伝える。

 情報が無い未知の参加者ほど、賭け甲斐のあるものはないだろう。


≪それを阻む我らが守護者! 並みいる挑戦者をすべて食い殺してきた当コロシアムの人気者──『ルード』!≫


 ルード? と首を傾げた俺の元へ爆音が響き渡る。

 当然鼓膜が破けて死に戻りするが、コロシアムの機能的にそれは敗北とは判定されないようだ。


『GUOOOOOOOOOO!』


 俺って、巨大な魔物に恵まれるなー。


 四足歩行の獣が、空へ向けて吠える。

 ジャラジャラと伸びたと鎖、そして繋がった鎖には乾いた血がこびり付いていた。


「なに、あのいかにも凶悪そうな魔物」


《血を吸えば吸うほど凶化する、吸血鬼の性質によったキマイラです。吸血鬼によって従属化された動物が放逐されて魔物となり、さらにあらゆる生命体から血を取り込んだ結果誕生した……そうです》


「ネット検索って便利だな」


 そんな魔獣みたいな存在へ、これから俺は闘いを挑むことになる。

 コロシアムの舞台で、二人っきりの死闘が行われるのだ……はたして、どこまで切り札の存在を隠せるのかな?



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