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アジト その04



 歩く中、いろいろな人種の者とすれ違う。

 やはりこの街は種族を問わず、受け入れているのかもしれない。


 時にはいかにもチンピラっぽい奴やヤの付くご職業っぽい方も見かけたが、それはここが『拳王』のテリトリーだからだろうか?


「……いや、そうでもないぞ。たしかに他の奴らは、見た目を気にする。だがそれでも、雇う奴らの質を調整していると、こういった場所を視ることもできる」


「……口に、出てましたか?」


「いや、視線で理解した」


 ヴィキンにはどうやら、俺の見ていた場所がはっきりバレていたようで。

 どうせ分かっているならと、開き直って解説を訊くことに。


「あえて質の悪い者を使うことがあれば、優秀な人材を護衛に使うこともある。当然ではあるが、『超越者』やそれに次ぐ強者は、たいていが信頼できる部下が居る。そしてそれとは別に、鉄砲玉となる使い捨ての人材を用意しているんだ」


「……『拳王』さんは別、ですよね?」


「似たり寄ったりだがな。アイツは己自身が鉄砲玉で在り続けようとする。抗争が起きればまず自身が突撃し、部下が到着する前に勝利をほぼ確実なものにしておく……要するにアイツは、誰も殺させる気がないんだよ」


 まあ、そんな気はしていた。

 善人すぎる、といった感じではない。

 ただ自分の手の届く範囲にある者を、すべて守ろうとするだけだ。


 ……『拳王』という力は、個の力としてならばかなり上位に君臨する。

 それは先ほど拳撃を浴びた俺だからこそ、理解している──『SEBAS』が受けたダメージを数値化してくれたからな。


「そういった方と、それを慕う皆さまばかりであれば……私も、私が生みだしてしまった物も正しく使われたのでしょうね」


「……それは?」


 ヴィキンに渡したのは二つのポーション。

 蓋が白い万能薬と、黒い蘇生薬だ。


「危機的な状況とあれば白い方を、どうしようも無くなれば黒い方を使ってください……あ、これは他の方には内緒ですよ」


「いったい、これは……とても凄まじい力を感じるんだが」


 鑑定系のスキルは持っていないのだろう。

 それに、ポーションの瓶に偽装を施しているのでそのすべてを見抜ける者は多くない。


 ……いや、鑑定系の『超越者』であれば判別できるかもしれないからな。

 確証はできないし、そうでない方が面白いじゃないか。


「貴方にしか使えない、運命を変える二品ですよ。使わなければそれでよし、ですがいつかそれは使われてしまう……誰も不幸にならない、そんな理想のための商品です」


「商品……いくらだろうか? これだけの品は、見ずとも価値があることが分かる」


「これから貰える品を、ヴィキンさんの判断でサービスしてもらえればそれでいいです」


 実際、これが目的だった。

 報酬は多いに越したことは無いからな。


「分かった……話もあれだ。続きは──この中でしよう」


 どうやら目的地に着いたようだ。

 何を溜めこんでるのやら……楽しみだよ。



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