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アジト その02



 暗躍街の神秘を、実感する時間であった。

 大通りを歩いていたが、だんだんと小道を通り始めた俺たち。


 だが、クネクネと道を進むと先ほどとは景観がまったく異なる大通りが広がるのだ。


「これは……いったい」


「この街はな、歩き方で転移できるんだ。もちろんそうでなくとも歩けるが、通はだいたい行きたい場所への移動法を理解している」


「神代魔道具……」


「ああ──この街は街自体が神代魔道具。本当の意味で街を知る奴は誰もいねぇ」


 ドローンで俺の現在位置を把握させていたが、本当に転移していた。

 神代の技術は『魔道具適性0(笑)』でもダウンロードできないため、一から探らなければ理解することができない。


 ここを識ることができれば、真の意味で転移を行えるようになるかもしれないな。


「街の中枢……というより、核となる部分は判明しているのですか?」


「それがさっぱりだ……と、言っておいた方が良かったか? アイツらと違って俺はバカだから正直に言うぞ──俺も含めて全員が、そこを支配しようと動いている」


 コントロールルーム、のような場所がおそらくこの場所には存在する。

 それは箱庭にも存在した中枢、街全体を操作することも容易くなる心臓部分だ。


「とは言っても、俺はこの街を自分のモノにしたいわけじゃねぇ。……信じてもらう気はねぇから気にすんな」


「いえ、信じますよ。貴方の目が、それが真実だと物語っていますから」


「そうか? 腹芸ができねぇからな」


 荒波に呑まれて、なお自分の夢を叶えようと慢心した同僚に似ている瞳だった。

 ……タクマじゃないぞ。


 アイツは仕事疲れでやつれた顔をしながらも、眼の光は決して失わなかった。

 そして本当に夢を叶え、今ではある企業でかなりの重職に就いているのだから──『現実は小説より奇なり』だ。


「事情は訊きません。ですが、真っ当な理由なんでしょう。手伝うことはできませんが、応援はしますよ」


「……変なヤツだな、お前」


「よく言われますよ」


 この街に何人も居る強者たち。

 彼らはいずれ、この街の最深部へと足を延ばすことになるだろう。


 それが箱庭と同様の仕組みであれば、少々厄介なことになる。

 守護者が居るかはしらないが、その有無もそこにかなり関係してくる。


「『SEBAS』、どうなってる?」


《規模が広く、やはりまだ……》


「気長に行こう。できるなら、順序に関係なく自在に場所を選べるようにしておきたい。先にそっちを頼めるか?」


《畏まりました。そのように》


 今はできることだけをやっていこう。

 先に進む『拳王』の背を追いかけながら、そんなことをふと思った。



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