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暗躍街 その06



「まっ、『超越者』じゃねぇのもいるが、似たようもんだろ」


「コイツがお前たちの中で噂になっているという、『生者』とやらか……」

「…………」

「つまらないわね、賭け事には向いてなさそうな顔つきよ」


 三人の者がこの場に現れた。

 一人目は男、三人目は女……二人目はボソボソと呟くだけで何を言っていたか分からなかったが、『SEBAS』が無性だと教えてくれた。


「簡単に説明すれば……そっちの偉そうな奴が【情報王】だ」


「初めまして、新たな『超越者』。そして星渡りの異星人よ。全情報ギルドを統べる長をしている。何か買いたい情報があれば、いつでも相談するが良い」


 若そうだが、自信が溢れている。

 野心家、といったイメージが色濃く感じられるな。

 ギラギラした瞳は、俺に対する商品価値を調べているのだろう。


「そっちのボソボソ黙っているのが、暗殺ギルドの長──【暗殺王】だ」


「…………」


「えっと、『弱そうだ』だそうよ。あっ、私は『超越者』の『賭博』。この街のカジノすべてを管理しているわ。よろしくね」


 フードの陰で顔は隠れているが、少なくともこちらは殺気を出していない。

 俺のような雑魚であれば、警戒せずとも殺せるという証明だろうか……合ってるけど。


 一方の『賭博』は経験豊富な美魔女、と例えるのが正しいのだろうか。

 親しげな感じを装おってはいるが、内面からナニカを企んでいる感が透けて見える……いや、殺気が出てるからな。


「他にも数人いるんだが、最近来た新人の対応に追われているから……気にすんな。そのうち会いに来るさ」


「そうですか……自己紹介が遅れましたね。私は『生者』、『超越者』の末端で生に特化しています」


 そして、あるアイテムを取りだす。


「【暗殺王】さん、こちらを貴方にお薦めしたいのですが」


「?」


 首を傾げる【暗殺王】へ、ほんの僅かな装飾を施した腕輪を見せる。


「拡声器、という代物です。腕に嵌めると声が大きくなりますよ」


「…………」


「えっと、友好の印です。他の方々は今必要とする物が分かりませんが、貴方にはこれが良いかと思いまして……」


 そう言われて、【暗殺王】はゆっくりと腕輪に手を伸ばす。

 そして、様子を窺っている【情報王】に一度それを見せる。


「……ふむ。どうやら説明通りの代物みたいだ。だが、仕組みが面白いな。アイツに見せれば売り出しを始めそうだ」


「…………」


 安全なことを確認して、【暗殺王】はローブの中に手を入れて腕輪を嵌める。


「スイッチが有りますので、そこを押していただければ起動しますよ」


『……あ、あー。……便利な物だね』


 やけに高い声だが、声は聞こえる。

 どうやらちゃんと使えたようだな。


「できるなら、それで命だけはご勘弁を……というヤツですね。私への依頼があれば、可能な限り拒否してもらいたいです」


『それは無理だよ。けど、一声かけることにするよ。『誰かがお前を狙っている』って』


「さすがに無理でしたが……では、そちらで構いません」


 暗殺されても死んで蘇るだけだ。

 しかし、俺という人間を観察している男には良い情報を与えられるだろう。


「…………」


 ジッと睨まれ観察されながら、次の策を練り始めるのだった。



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