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疲労理由 後篇



「ポーションには驚いたよ……うん、まさか蘇生まで簡単にできるんだから」


「そういえば……どうやって調べたので?」


「試験薬ぐらい、こっちにもあるよ。実験用の魔物を使って、試してみたのさ」


 ネズミだかスライムだか知らないが、どの世界でも考えることはいっしょだったか。

 もともとこの世界では魔物は悪しき存在という設定だし、仕方ないと言えば仕方ないんだよなー。


「それから、森が無くなったと思えばツクル君が犯人だったり……揉み消すの、結構大変だったんだからね」


「あの件につきましては……ええ、ありがとうございます」


 風兎をスカウトするために、なんでもしようとした結果が森ごと星に運ぶという選択。

 後になって危険に気づいたので、もうそんなことはしていないさ。


「そのあと、あのお方が君との繋ぎが欲しいと連絡してきた……それもそれでツッコミどころが多かったね」


「あの眼光の凄まじいご老人ですね」


「……うん、そうなんだけど。あんまり悪く言っちゃ駄目だよ」


「気をつけます」


 その正体は守護獣なんだろうな。

 どこかのエリアでの素材回収で、ずっとお世話になってるから下に出るしかないと。

 いつだって、上役は立てる必要があるのが世知辛い。


「貿易をやったり、新作という名の世界崩壊の引き金を任せたり……もう分かるよね?」


「思い出話ですか……懐かしいですね」


「そうじゃないんだよ! き・み・が! これまでやってきたことが、ぼくの仕事になっているってことだよ!」


「?」


 えっと、それは……そうだな。

 けど、何が問題だったんだろう。



「君だけが、ぼくに影響を及ぼす厄介事の域まで生産の技術が高いんだ。他の有象無象は味を付けて満足とか、錬金術で火薬を作ったり金属を作り変えたり、ちょっと危なくても魔物の素材で高品質のアイテムを作るぐらいで収まっている。なのに君だけ! どうして君だけは人を簡単に生き返らせたり、これまで誰も作れなかった万病を癒す薬だったり誰もできなかった貿易をしていたりするの!」



「……た、たまたま、ですね」


 生産、このジャンルだったから俺だけが目立ってしまっていたようだ。

 他のことであれば、よりプレイヤーたちが暴れた証拠が出てくるだろう。


 冒険者や従魔ギルドに行けば、きっとギルド長と同じ悩みを持つ長がいるはずだよ。

 ショウやマイがお世話になってそうだし、いずれ菓子折りでも持っていって謝っておいた方がいいのかな?


「落ち着いてくださいよ。ほら、今日は心が落ち着くお香を持ってきましたから」


「……ぼくの鑑定だと、傷ついた魂を修復するとか書いてあるけど?」


「落ち着きますよ、心」


 再び暴走し始めたギルド長を、呼びだしの魔道具で呼んだギルドの方といっしょに抑え込むことになった。



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