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巫女 その03



「改めてみると、おんぼろだな」


「そこまで言うか。修繕できる者が居ないのだから仕方がなかろう」


 千苦に案内され、再び鳥居の場所へ戻る。

 朽ち果てたそれらは所々に罅が入り、いつ来るかも分からない終わりの時を、ただゆっくりと待つのみだ。


「しかしまあ、やりようはある。図面でもあれば、もっと作業効率が上がったんだが……無いんだよな」


「どこかにあるかもしれないが、少なくとも私には心当たりが無い。狐魅童子様も無いと仰られたのだ。どうにかするしかないぞ」


「言いだしたのは俺だから構わんが……原型が無くなっても、いいんだな?」


 あくまでも:DIY:は、あらゆるものの基本的な作り方を俺に与えてくれるだけだ。

 鳥居自体の作り方が分かっても、そこに妖界と別世界を繋ぐ道の作り方がなければ再現は不可能だ(むしろ、教えてくれる方がおかしいと思う)。


「構わん。願わくば、狐魅童子様を捕らえるしがらみが無くなるよう。私であれば、いくらでも礼を尽くそう。式神にすると言うならば、貴様が死ぬそのときまで、狐魅童子様が必要とされないときであれば尽くす」


 あっ、そこはやっぱりなのね──といったツッコミは控えておく。

 その辺の忠誠を邪魔するほど、俺は落ちぶれてはいないからな。


「それじゃあ、少し離れた場所に居てくれ。それと──邪魔が入らないようにも」


「……たしかに、その可能性はあるか。相分かった」


 俺の指示通り、遠くに向かう千苦。

 だがそれを一度止め、追加でこう言った。


「作業自体、何を使うか分からない。ただ、その願いだけはどうにかしてみる。最悪、この鳥居とは関係ない手段でも外の世界に連れ出せるようにしてやるよ……あの世界とか、おすすめだぞ」


「ふっ……一度であれば、あのお方をお連れするのもよいかもしれないな」


「同年代の友達、作れるといいな」


「ああ、まったくだ。……頼んだぞ」


 応、とだけ答えると千苦は今一度歩を進めていく。


 死亡レーダーが、すでにいくつかの反応を検知していた。

 彼はきっとその場所へ赴き、俺の工作が成功する可能性を一%でも高めてくれる。


 ……まあ、死んでもどうにかなることは理解しているだろうが、出会ったばかりの人間が殺されたと知れば、狐魅童子がどこまで衝撃を受けるかを考えて動いているんだろう。


「──さて、俺の方も足掻いてみますか」


 ポケットの中からいくつか工具を取りだしていき、ストレッチをして入念に体を解しておく。


 ある程度体が温まると、いつもの宣言を告げて作業に取り組むのだった。



「:DIY:、作業スタート」



 ……まあ、言葉はほぼ適当だが。



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