表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
338/3047

巫女 その01



 なんだか『陰陽師』の時と、ほぼ似たようなパターンだよな。

 うん、今回も殺されまくっております。


「よく来たの……な。私がこの神社で巫女を行う者じゃ……だ」


 簾の奥に見えるのは、小柄な少女だ。

 ……御子じゃなくて、巫女だったのか。


「──『超越者』が末端、『生者』と申す者です。この度は、あちらのお方に招かれてこの場に馳せ参じた次第です」


「そうか、其方が『千苦(センク)』を永劫の封印から解いてくれた者か……このような場所からではあるが、礼を言いたい」


 簾の奥に映る影が、ペコリと頭を下げたように見えた。


 へー、センクっていうのか。

 千の苦しみ……悪鬼はたしか、節分でも使われている本来の鬼。

 病魔や不幸を連れる者だしな。


「で、あれば……友好的な関係でありたいとだけ。私から、貴方がたへどうこうしようとする企てはありません。殺気を放たれたならば別ですが、友好的な相手に殺気を向けるようなことはどうかと思いますので」


 この台詞(セリフ)に半分の殺気が和らぎ、もう半分の殺気が増大する。

 物ノ怪の威圧も人の威圧も大差ないので、気にせず状況の変化を見届けることを選ぶ。


「……なるほど、あい分かった。自身で理解している者よ、まだ分かっていない者たちを連れて一度下がれ。センク、お主は納得しない者どものための護衛だ」


「ハッ、畏まりました」


「では、やってくれ」


 その言葉に、半数の物ノ怪たちが立ち上がり──もう半数の物ノ怪たちを無理矢理引っ張り、この場から連れだしていく。


「おい、離せ!」「巫女様の命だ。あのまま居るわけにはいかない」「『超越者』がこれまで俺たちに、何をしたのか覚えていないわけではないだろう!」「黙れ! ……奴は、センク殿を救った恩人。あの悪魔のような人族とは違う」「……くそっ」


 なんだか、先輩の中に問題児が居たみたいだな……何をしたんだか。

 お蔭でいなくなる物ノ怪たちは悲観ムードになっており、凄く悔しそうな顔を浮かべてこの場から去っていく。


 ……俺、悪人っぽいですかね?


「すまんの……ないな。アヤツらも、悪気はないのじゃ……だ」


「あの、普通に話してくれて結構ですよ。お気になさらず」


「……そうか? なら、お主も素の口調にしてもらいたい。相手がそうして硬いと、ついこちらもせねばと思ってしまう」


 ああ、お互い様でしたね。

 コホンと咳を吐き、改めて会話を続ける。


「改めて、『生者』のツクルだ。感じて分かるように、風が吹けば死ぬような虚弱体質だから気をつけてくれよ」


「私は『狐魅童子』じゃ。よろしく頼むぞ、『生者』ツクルよ!」


 こうして俺は、悪鬼が仕える巫女と初めて邂逅するのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ