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悪鬼 その07



「──本当に、これでいいんですよね?」


『ああ、それで構わない』


 聞こえてくる声に尋ねると、俺の行動の正しさを肯定してくる。

 それは一枚のペラペラな紙、お札のように紋様が刻まれた物から聞こえてきた。


「ここには、いったい何が?」


『実際、異界であればどこでも良かった。あの場所では地脈が異なったためできずにいたが、この場所であれば問題ない……これまでずっと、この地に居たのだからな』


 そう、今居るのは俺と悪鬼が初めて出会った場所──って言うと、なんか捉え方が異なるから不思議だな。


 まあ、悪鬼が封印された場所にいる。

 あれから少しやり取りをして、この場所に来なければそれを果たすことができないというわけで……。


「あんまり派手なことはしないでくれよ。外部にバレるし、何より札が破れる」


『……すぐに壊れる物を要求したが、まさかここまで軟いとは。もう少し、私の限界に合わせた品は無かったのか』


「渡された劣化品か、用意していた最高級の物しか無いんですよ。縛られたままは嫌、そう言ったので劣化品を使ったのです」


 もちろん、『陰陽師』から頂いたありがたい代物でございますよ。

 いちおう最下級の物ノ怪なら、契約を勝手に破棄されるなんてこともないんだぞ。


 ただ、悪鬼などといういかにも強そうな物ノ怪を縛るのには適してなかったんだ。




「──よし、これで準備完了だ」


 札はすでに破れてしまったので、悪鬼はこの異界へ現界してしまっている。


 偽装は腕輪で済ませているものの、心配はどれだけしても問題はない。

『SEBAS』が解析した『陰陽師』の屋敷に施された結界術式、それらから編みだした対探知用の結界でこの場を隠している。


 ──自分の使う防御、それを数倍に強化したものならば気づくこともできないだろう。


「結局、本当にあんなことができるので? そこまで便利なものなんでしょうか」


「あのお方の力、とだけ伝えておこうか。普通の物ノ怪であれば、さすがにこのようなことを成すのは不可能だ。あのお方は、自身と縁を紡いだ者との間に次元の門を開くことができるのだ」


「相互間の転移門ですか」


 そりゃあ、なんとも便利なもので。

 座標なんてものはなく、対象が居る場所が転移を行える場所となる。


 いちおう風兎やカルル、セバヌスやカエンの下へはそれも可能になっているが、相互間ではなく彼らが一方的にできることだ。


 ……魔力が、溜め込んだ石を使わないとどうにもならなかったからな。


「──では、あのお方の元へ向かおうか」


「……はい、お願いします」


 そういった俺たちの目の前には、豪華絢爛な朱色の鳥居が並び立っていた。



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