表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
325/3048

陰陽師 その05



 行きにも使わされた転移用の札を使い、俺は央の都市に戻ってくる。

 こちらの札も最低限の技術しか使われておらず、情報を晒す気はほとんどないのが目に見えて理解できた。


「ただいま戻りました」


「お疲れ様です、『生者』はん。悪鬼はどうなはりました?」


「ええ、どうにか眠ってもらいました。その間に一日一回しか使えないものを使い、そのまま終わらせましたよ」


「…………そうですか、わざわざそのようなものを使わせてしまうなんて、ほんますいまへん」


「構いませんよ。事前に交渉は済んでいますし、私は約束のものさえいただければそれで充分です」


 本音でございます。

 だって、式神なんて便利な存在がいればドローンと合わせて二大監視装置が用意できるからな。

 ……まっ、式神は装置じゃないけど。


「ああ、『生者』はんに例の物を」


『陰陽師』がそう言って手を叩くと、どこからともなく現れた子供が、一冊の本を俺に手渡してくる。


「式神に関する情報、『生者』はんが求めていた物です」


「──今、見せてもらっても?」


「……『生者』はん、楽しみにあとに取っておくものやないか?」


「ははっ、申し訳ありません。私は逆に、楽しみは初めに行うタイプでして」


 そう言って、許可も取らずに本をペラペラと捲り始める。


「──おや? おかしいですね」


「…………」


「なるほど、たしかに式神に関する情報が記されているようですね。ただ、この本は謎解きの要素もあるのですか」


 情報には穴があり、基礎知識以上は本から理解できないようになっていた。

 というか応用の情報など極一部しか載っておらず、おそらくこの街を巡れば知れるであろう情報程度しか記されていないのだ。


 また、報酬として求めた、契約に必要なアイテムに関しても──超簡易な札が、一枚挟まっているだけときた。

 一式、しか求めていなかったからな。


「……そうやって解いた方が、『生者』はんも喜んでもらえると──」


「喜ぶと言うのなら、『陰陽師』さんに直接教われたら喜びますかね」


「……そうですか。なら、ウチが教えてはりましょう。やり方はウチ独自のもので構へんでしょう?」


「はい、それこそありがたいですよ。申し訳ありませんね、まさか本当に『陰陽師』さんが教えてくれるとは……」


 まあ、この展開しかバレたからには選べないだろうな。

 たしかに、あとから気づこうが式神に関する情報は渡したのだから契約は履行されたと言える。


「ほな、場所を変えましょか」


「ええ、どうなるか楽しみですよ」


 二人でニコニコと笑いながら、俺たちは移動を始めるのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ