表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/3046

陰陽師 その04



「あっ、でもコンセプトは同じなのか? 鏡写しの世界ってのは悪しき者が眠ると」


 入った空間は左右が逆さになった場所だ。

 大きな違いはそれともう一つ──またしても、大きな山があることだ。


「……うわっ、鑑定の色がヤバいことに」


 濃厚な色で浮かび上がる、詳細不明を示す文字の羅列……封印された存在が、異常な戦闘力を有していることを示している。


「鬼、まあ東洋と言えばこれだよな」


 瘴気に包まれた一つ角の鬼が一匹、空間の中で鎖に縛られていた。

 山に打ち込まれた楔は今にも外れそうで、唸りと共にジャラジャラと鎖が鳴っている。


「だがまあ、俺の目的はコイツをどうにかした先にしか無いからな……悪いが、俺の目的の礎となってもらうぞ」


《旦那様、最適解を求めますか?》


「いや、俺のボケっぷりで平常運転なら怪しまれないだろう。どうせ休人ってことはバレてるんだし、少しぐらいならヒントを出しても構わないだろう」


《……偽装の方は完了しました》


「ああ、だが『超越者』に完全な安全など存在しないだろう。俺らだって、何重にも策を用意しているんだ。周りがそうじゃない保証はないし、それ以上がないというわけでもないだろ?」


 どうにか『SEBAS』のお蔭で、俺もそうした頭脳戦をやってこれた。

 だが、世界には『SEBAS』以上の頭脳の持ち主がいるかもしれないし、別のベクトルで秀才な者ならばごまんといる。


 特に人を使うことができる『陰陽師』。

 ただ使役するだけでなく、慕われている彼女ならば……。

 簡単には見抜けない方法で、観察することぐらい容易いだろう。


「まあ、ここは任せておけ。正解じゃなくとも、答えには導いてみせる」


《畏まりました》


 ビキビキ、という音が山々から響く。

 楔は外れ、鎖は壊れ、鬼が吠える。


『グォオオオオオオ!』


「やかましいな……。また鼓膜が破れて死んだみたいだ」


 手に持つのは小さなカプセル。

 予めこういった状況に使えるよう、加工に加工を重ねた一つのアイテム。


 それをポケットから取り出したパチンコに載せ、鬼に向けて放つ。


『グォオオオオ……オオオ、オ……オ……オオ……Zzz』


「よし、成功」


《死天による具現化アイテム。その銃弾化アイテム『永眠の死弾』──成功です》


 放ったのは、俺が昏睡死に関する死に方で亡くなった際に生成されたアイテム。

 撃てば相手は百パーセントの確率で眠りに着き、特定の方法で無ければそのまま永眠して死ぬという恐ろしい物だ。


 まあ、加工する際にある程度眠りの強さを弱くしてあるので、仮死として使っても大丈夫なんだが。


「さて、これで終わりだな。──監視は?」


《……やはり、まだいました。新たな対応策の準備をしております》


「まっ、そうだよな。そう簡単には、やらせてくれないか」


 それでも最後に利を得るのは俺だ。

 式神の情報、引き出させてもらうぞ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ