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陰陽師 その01



「改めまして。私は四瑠、ここにいる一火と同じく、『陰陽師』の名を冠するお方に仕える式神の一人です」


 改めて、ペコリとお辞儀をする少女。

 額から生えた小さな角が、頭を下げたことでより髪から盛り上がって見える。


「こちらこそ、私は『生者』です。お招きいただきありがとうございます。ところで、どうして四瑠さんはこちらへ?」


「一火だけでは心許ない……そう判断しましたので、主様の許可を頂きお迎えに上がりました所存です」


「主が、そう言ったのではないのだな。妾だけでは心配だと、主が言ったのでは」


「二度も心配せずとも大丈夫よ。これは私個人の意見、主様のお言葉ではないわ」


 ホッと息を吐く一火。

 二人にとって、『陰陽師』と呼ばれる人がどれだけ大切なのかがよく分かるな。


「──そもそも、一の名を冠する妾以上に優れた式神など居らぬ」


「あら、なら『九拿』は?」


「ぐっ……や、奴は特別! あやつ以外の序列は数字が小さい方が優秀。『二羅』を見ても、それが分からぬのか!」


「はいはい、二羅は優秀なんて誰でも知ってる常識です。そうむくれてないで、そろそろ『生者』様を案内するわよ」


「おおっ! そうだったのう」


 二人の話題が俺に戻ったので、言われるがままに案内されていった。




 そして、(ふすま)の前でスタンバイをする。

 襖の引手の辺りでは一火と四瑠が同様にスタンバイしており、いつ連絡を受けても襖が開けられるようにしていた。


「特に格式ばった礼儀は必要ない。主は妾のような式神にも寛大なお方。同様の地位に居る『生者』に無茶は要求せぬ」

「ただ、少し好みに問題がありますので……そこだけは、予めご了承ください」


「? 覚えておきます」


 うん、『超越者』がいろいろとズレているのは理解している。

 多少のことなら、驚くことはないだろう。


「ちなみにですが……この先に居るのは、例の『陰陽師』さんだけではありませんね?」


「当然だ。妾たちも参列するし、他の式神たちもその場で待機する」

「『超越者』同士の対面は、とても珍しく興味深いモノですので……あっ、もちろんダメならばすぐに申してください。その場から離れるように指示されますので」


「いえ、構いませんよ」


 むしろ、一気に調べられるので好都合だ。

 式神に関する情報はまだ少なく、あとで聞くだけでは基礎しか分からないだろう。


 応用──カエンのようなイレギュラーを人為的に、式神として生みだしてみたい。

 マッドなサイエンティストの気持ちがなんとなく理解できたので、情報を集めることだけはしておく。


「──合図が来たぞ。『生者』、心の準備はよいか?」


「大丈夫です」



「では──開けます」



 二人によって襖が開かれ、その先の光景が広がる──



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