死天の試練後 その19
権謀・実力・利益……三つの要素で力を合わせ、罪を無かったことにしよう!
アルス・ナギマとの取り引きは、概ねそんな感じで進んでいった。
『『忌獣』……興味深い』
「あれはサンプルだからな、好きに使ってくれていい。もちろん、使い潰そうと複製を試みようと好きにしてくれ」
当然ながら、同じく禁忌に手を染めないと真似ることもできないだろうが。
何より、材料として遺製素材が含まれているため、普通は量産なんてできない。
魔獣の方もだいぶ劣化しているが、だからこそ本物の魔獣たちが自分たちの素材を使われたと認識できないようになっている。
要所要所で寄せ集め、器用貧乏となった性能を遺製素材で強化──固有能力も付与。
とここまでは良かったのだが、『錬金王』とも作った擬似魂魄で問題が起きた。
その辺は省くが、それを【傾界魔王】に解決してもらったわけだ。
俺や『SEBAS』が把握している限り、あらゆる術式では不可能な方法でな。
「っと、そろそろ始めよう。使い方はさっき説明した通りだ」
『鍵となる術式を使うと……始動』
先んじて“究極術式”を介して、暗号を施した術式を渡しておいた。
内容は魔力で忌獣を操作するという、ただそれだけ……ハッキングし放題だ。
サンプル版なのでその辺はざっくりとした設計、現行モデルは改良してある。
アルス・ナギマもまた、即席で術式を改良していろいろ施し──操縦を始めた。
元より、戦闘プログラムに従って集団との戦闘を行っていた忌獣。
それがアルス・ナギマの操作下となり──魔力量が爆発的に跳ね上がる。
『灰……白と黒、光と闇の固有能力』
「ああ、それぞれ[ギフチャージ]と[エクリエンド]って個体だったな。完全な再現はできなかったんだが、精霊だった頃の属性の支配能力だけは引き継ぐことに成功したぞ」
『そして魔獣……相当数の魔獣の因子が含まれている。単なる合成ではこうも合わせられないはず』
「そこはまあ、企業秘密だな……にしても、そっちも何やってるんだ? 何だか魔力が物凄いことになってるみたいだが」
『強化術式だ。少々無茶なものだが』
ああうん、忌獣から血が噴き出ている。
どうやら増血やら循環の高速化も含んだ強化をやった結果、体がその影響に耐えられずに自壊を始めたようだ。
サンプルとはいえ魔獣がほぼ素体、劣化クローンでも普通の魔物以上の耐久度はある。
それを上回るだけの強化を瞬時に行った、さすがはアルス・ナギマだ。
『戦闘用の術式をいくつか追加した。これでしばらくは持つと推察』
「……さて、どうなりますかね?」
その後、『逸脱者』も含めての最終戦。
権能やら『プログレス』が入り乱れる戦いの果て──空から降ってきた隕石により、忌獣は押し潰されて絶命するのだった。
※今回出た強化術式(仮)
言うまでも無く禁忌級
かつて理論だけ挙げられ、速攻で廃人になる者が続出して消された術式
「普通の身体強化じゃダメなら、血管や筋骨、細胞に至るまで何でもかんでも強化しよう!」というシンプルかつバカなアイデアを真面目に採用した結果
……用途がほぼアウトな使い方しかできない
p.s. 無字×1216
寒さに負けず、お出かけして来た作者です
某Mのハンバーガー店で、マトリョーシカみたいなスライムを当てたからですね
福袋(こちらは外れた)と同じノリで応募して当てましたけど…………うーん、実用性




