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主従談



 ツクルが帰還したトゥーハスト。

 一組の主従が城の地下へ向かっていた。


「姫様、アイツのことをどう考えているんですか?」


「善く言えば──国の危機を未然に食い止めた救世主ですね」


「悪く言えば?」


「無軌道な暴力でしょうか。非力であるが故の力、ありえないからこそありえてしまった存在。本来の(・・・)『超越者』とはこういった存在である、それがよく分かりました」


 主はツクルのことを悪くは言っていない。

 ただ述べているのは事実だけだ。

 それを分かっている従者は、言葉を変えて再度尋ねる。


「信じられるんですか? 契約も口約束でしたし、いつその力でこの国襲うか──」


「それを行う理由がありません。そもそも、できるならば条件として国を寄越せと告げていたでしょう」


 それだけのことが今回はできた。

 命でなければ、すべてを礼として捧げる必要があるほど城に眠る兵器は強大。


 国に住まうすべての者たちが束になって挑もうと、洗脳されて操られる。

 耐性を持つ者だけで挑んだとしても、強固な装甲が彼らの攻撃を阻み停止させることはできなかっただろう。


「いずれ私が殺されていたことは、ほぼ間違いありません。魔道具で精神の強さを高めていたからこそ平気でしたが、そうでない者たちは全滅でしたしね」


「あれはいつ使われた物なんでしょう。というより、当時の王家はどうしてそれを使ったかが謎じゃねぇか」


「それを考える余地すらなく、縋った結果があれなのでしょう。過去のことは過去の者たちにしか分かりません。今を生きる者にできるのは──いつだって、今と未来を考えることだけです」


 やがて、地下に辿り着く。

 開かれた扉を潜り、戦闘痕を見る。


「ロイス、貴方にできますか? これだけの力を示した絡繰り仕掛けの龍を単独で止めることが。それができないからこそ、抑止力となる物がないからこそ、私は彼に差し上げたのです」


「ここまでとはなぁ……」


 地下の空洞には斬撃痕や熔けた地面、大量の穴が生まれていた。

 映像でそれを観ていた二人ではあるが、実際に見たそこは数倍の恐怖を感じさせる。


「そして、代わりに頂いたこの兵器。これもまた、本来ならば私たちの手に余る物。決して使うことがないよう、伝える必要がありますね。──同じことを繰り返さぬよう」


「…………『超越者』ってのは、どいつもこいつもみんなこれができるんですか」


「あの娘の話によると、あくまで戦闘に力を注いだ者に限るそうです。例外はほんの一握り、万能の『騎士王』やそれらの権能を奪うことのできる【魔王】のみ」


「そして、アイツですか……」


「戦闘能力もあり、これだけの物を生みだす技術力も有する。おそらく、『超越者』の中でももっとも危険な存在と成り得る可能性を秘めていますね。こうして早めに手を取り合うことができてよかったです」


 彼女たちが見つめる先、そこには──二足歩行のロボットが置かれていた。



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