死天の試練数十回目 その08
敵性ユニットたちは十体分、百体分と束ねれば束ねるほど性能が強化されていく。
連携攻撃、自己犠牲、間隙など……戦闘の質が上がる。
だがそれを超えられれば、一度に多くの突破数を稼ぐことができるわけで。
俺(というか『SEBAS』)の戦術を阻むいくつかの敵性ユニット、それらを狙う。
「──『暴発の死銃』、遠距離かつアイテムの暴走を引き起こすコレを優先して何とかしないとならんな」
アイテムの強奪、職業能力暴走、耐久度の消耗など他のアイテムも厄介なのだが、それ以上に暴走──つまり自滅に近い形でアイテムを処理されるのが一番危険なのだ。
強奪も耐久度消耗も、システム的に保護されていたり不壊であればどうにかできる。
だが暴走だけは違う、自滅扱いなのでそういったシステムによる防御ができないのだ。
「“千変宝珠”で何とかなるか?」
《魔力に干渉する死因も多く、確実ではありませんね。これまでは“検索召喚”から成る純エネルギーによる蹂躙でしたが、通常の術式では阻害されてしまうでしょう》
「『騎士王』の術式でもか?」
俺用に、と(焼き串と引き換えで)作ってくれた“千変宝珠”は俺の虚弱性に対応しており、死亡しても術式の持続するよう設計されている。
死に戻るため休人でも無用な、俺みたいなヤツしか使わない術式の仕様。
それを一から構築してくれた、『騎士王』の才能は凄まじいよな。
「アレって死亡して供給が途切れるその瞬間も、妨害がされないような構成になってるんじゃなかったか?」
《純粋な出力差です。殺す、無力化する、そういった分野において『死天』の力が影響を及ぼしているようです》
「……そもそもの前提からダメなわけだ」
発動に使う魔力が使えなくなるとか、術式の構築自体をできなくするとか……やり方次第でどうとでもなってしまう。
それに対処するのは術式ではない、術者本人なのだが、俺の場合は虚弱過ぎて対処できないモノが多いのだ。
「それでも、何かあるんだろう?」
《特攻、決死、使い捨て……旦那様に、ご負担をお掛けしてしまいます》
「大丈夫か? ほら、死因でまた『死天』の条件を満たしてアイテムを作ったら、同じことの繰り返しなわけだし」
《それも含め、旦那様のご協力が不可欠となります……ストックも、いくつか消費してしまいます》
ストック、脱獄時に『騎士王』相手に使ったような禁制品。
普段は決して使えず、隔離された場所でのみ状況次第で使う奥の手そのもの。
「……どれを?」
《『魔液気化爆弾』を、職業能力込みでお願いします》
「が、ガチだな……まあ、手段を選んではいられないか──よし、『世界平和』だ」
《音声識別完了──収納時空解放、取り出し可能となります》
「で、『魔液気化爆弾』を…………っと」
それは掌サイズの魔石に封じられた代物。
魔力に感応する、逆に言えばそうしない限りは堅固な殻に覆われて取り出されることの無い安全性を有している。
名前でお察しの通り、それは燃料気化爆弾というかつて禁止された兵器のオマージュ。
……蘇生薬やら万能薬を作る人間が、その技量で作った液体燃料が収められていた。
※術式“千変宝珠”(おさらい)
『騎士王』が生み出したオリジナル術式
死後も持続する、全属性・武器種対応、軌道自在などなどのチートっぷり
『騎士王』だからできたこと、しかしながら理論上は誰でも可能
──絵の勉強をまったくしていない人が、鉛筆だけでデジタルアート顔負けの超大作を一発で描き上げる……ぐらいのことができれば可能
p.s. 無字×1152(ドラクエX日記)
コインボス(沼コンテンツ)に一気に挑戦
優秀なサポーター(NPC)が居れば、プレイヤーがどれだけアレでも何とかなりますね
ほぼすべてのコインボスを倒せたのですが……一体だけ、どうしても躓いています
暗黒の魔人・強、ソロプレイヤーの天敵ですよ……アレは
悔しいので攻略サイトを見て、プレイヤーが選択する職業の最適解を確認
…………全然レベルが低かったので、現在チマチマとレベリング中です




