死天の試練数十回目 その01
イベント世界 闘技島 特殊空間
心温まる(?)非合法クラン『AAA』との交流。
魔封獣晶はオーナーであるカルマ(仮)にも人気で、文字通りの猫可愛がりだった。
「──いっそのこと、ここに魔獣を召喚して暴れさせれば楽だったかもな……」
術式の組み込みが終わり、『AAA』の戦闘欲求不満な連中の憂さ晴らしも済み、ようやく本格的に試練を再開できる。
少しでも減らすため、一日ごとに挑戦自体はしていたんだけどな。
未だに1600万という大台から動くことは無く、試練はまだまだ終わらない。
「ただまあ、こっちも無策ってわけじゃないからな……まずはこれだ──“複合錬産:万形代”」
錬金術の一種であり、他の生産技術を模した技──錬産術。
元となったのは生産世界で活動する休人だが、俺と元『錬金王』で勝手に発展させた。
同じく、生産世界のギルド長の一人が保有していた虚工術。
魔力を器として物質とする技術を組み込むことで、錬産術に手を加えてみた。
「魔力で人形を作る……そこに籠めた属性や触媒次第で中身が変わるから、これまでよりも攻撃の幅を増やすことができるわけだ──“千変宝珠”」
属性魔力で人形たちに色を付け、また同じく生み出した武器を装備させていく。
そして、それらを[統天]や【指揮官】といった統率系の力で纏め上げる。
「職業能力に組み込んだのは大きいな……これまではできなかった、[メニュー]からの操作もできるようになったし」
本来、魔力を使う休人であれば誰でもできた[メニュー]派生の技術。
UIを操作することで、比較的容易に術式の発動が可能になる。
まあ、考えてみれば[インベントリ]がそうした操作でアイテムをどこからともなく取り出しているのだ、同じ理屈を当て嵌めれば道理は通っている……のだろうか?
ただ、どんな状態でも無理やり術式を構築できる仕様なので、乱発したり本来であれば使えないような状態で発動すると、出力が落ちたり再使用までの時間が長くなるらしい。
……らしい、というのは『SEBAS』が改良した術式にそのデメリットは無いから。
どんな状態でも魔力があれば連発可能、また念じれば要望にある程度応えてくれる。
「属性や形状、速度や進路や始点なんかも変えられるから本当に便利なんだよな……それにこれも合わせられる──“破砕硝壁”」
今の俺は人形の生成をしつつ、ポチポチとUI画面を連打している状況。
行っているのは結界魔法の展開、ただしこれはとても脆く触れればすぐ壊れる。
──が、俺以外が触れた場合に呪術要素が機能するおまけ付き。
砕けた結界が鋭い硝子のように、飛び散り相手を襲うのだ。
これにより、敵性ユニットが攻撃してきた際にオートで反撃できる。
ダメージは大したものでは無いが、元より仕様で相手のHPも1みたいなもの。
展開すればするだけ、勝手に数が減ってくれている。
俺の周りだけでなく、始点を弄れば人形たちにも掛けられるので効率もいい。
「……そのうち耐性は付くだろうけど、その時は別のアプローチがあるもんな。さーて、どんどん減らしていくぞ」
作業染みているからこそ、自分自身を鼓舞していく。
対策が十全だったため、しばらくの間は一度も死なずにリセットしていくのだった。
※“複合錬産・万形代”
『孤軍破狼[シャロウ]』の能力を、部分的に再現した錬産術
森羅万象に干渉し、あらゆるものを媒介とした人形を生み出すことができる
p.s. 無字×1145
足が冷え、体が怠い……まあいつものことか、作者です
出勤までの短い時間で、慌てて書いています
どうしてその前に書き終わらないかって? ……寝落ちするからですね(遠い目)




