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ドゥーハスト騒動 その04



「……その情報をあっちに売る気か?」


「いえいえ、そんなことはしませんよ。信頼はないでしょうが、本当のことです」


「ロイス!」


 はい、剣を首に突き付けられたまま説得中の私がいます。

 正解は──完全に怪しまれ、尋問の真っ最中でございました。


「はっきりいいましょう。こうして貴方がたと団欒を共にする間に、ほとんどの場所は捜索しました。封印の在り処が見つかるのも時間の問題です」


「……ハッタリだ」


「さて、それはどうでしょう。貴方がたの選択肢は二つ──目に見える場所で私が封印のある場所へ向かう姿を見る。そうでない場所でその瞬間を待つ。これだけなんですよ」


 実際、小型偵察ロボが必死に捜索中でございます。

 封印の術式は王城の辺りに魔力を集めていたので、王城より外側ということはほぼありえないだろう。


 あくまで封印は、この城のどこかにある。


「さぁ、どちらを選びますか? ……というより姫様、覚悟をお決めになられてはいかがでしょうか?」


「…………」


 もう少し、強く伝えないとダメかな。


「貴女が狙われる限り、傍にいる彼もまた危険と隣り合わせということになりますよ。それを止めるためには、貴族よりも早くこの騒動を終わらせる必要があります」


「っ……!」


「姫様、騙されるな。俺が姫様の隣にいることとそれは関係ねぇことだ」


「おや? 貴方にとってはたしかにそうかもしれませんね……しかし、姫様にとっては違うかもしれませんよ」


 訝しげな顔をするロイス。

 男と女では物事の捉え方が大きく違う。

 君には分からないさ、俺もそれが分からなかったせいでいろいろとあったよ。


「……分かりました、いっしょに向かうことにしましょう」


「ッ! なんでだ姫様!」


「これ以上! これ以上貴方が苦しむ姿は見たくないの……お願い、私のためだと言うなら傷つかないで。少しずつ顔色を悪くしていく貴方の姿は、もう見たくないの」


「姫、様……」


 お熱いねー、アッツアツじゃないか。

 俺もこれぐらい情熱的な言葉を、あのときのルリに言ったのだろうか。


 記憶を漁る限り、ここまで情に訴えかける言葉を言った記憶は無いな。


  ◆   □   ◆   □   ◆


 まあ、あれだけの言葉を言われて心を動かされない男はそういない。

 鈍感野郎が言葉の意味を曲解しようと、自分を大切に思っているってことが理解できるだろう……想うところまでは気づかないが。


 ──なるほど、ここまでされればと思えるのも納得だ。


 一度王族専用の部屋に移動した俺たち、そこにある仕掛けを姫様が動かすと地下へ続く道が生まれる。


 延々と暗い道をロイスが持つ灯りの魔道具だけを頼りに歩いていく。

 ……いったい、何が地下にあるのだろう。



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