玩具の銃 後篇
アイスプル 進魔の修練場 生者の遊歩道
玩具の銃が完成した。
見た目も性能も、ちょっとした変形機構がハイスペックな点を除けば、本当にお遊びの域を超えることの無い代物だ。
「これに弾丸を詰めても飛ばないし、何ならライフリングも撃鉄も無いしな。それっぽく引き金があるだけ、銃口も照準合わせ程度にしかならない」
本当に、男の子が魅了されるデザイン以外の特徴が無い、銃ならざる銃。
何なら魔装ではないので装備もできない、なので照準なども手動でやる必要がある。
「さて、撃つ前から嫌な予感しかしないわけだが……まずは『白』で様子見だな」
色が示すのは“検索召喚”において、光属性のエネルギーを溜め込んだ座標。
先日量を確保したことで、培養効率も増加した……なのでこうして使うことができる。
「光ならまあ、大規模な地形破壊とかそういうことにはならないよな……よし、やるか」
引き金を引くと、少しズレていた回路が完成して効果を発揮。
魔力の通りが発動プロセスとなり、特殊召喚術式“検索召喚”が作動する。
「よいしょ…………あ゛?」
引き金を引いたところで、反作用のようなものは存在しない。
火薬式のように、中で爆発するわけでも無いからだ。
いくつかモードは存在するが、今回の場合は撃った場所を起点に術式が展開される。
俺から離れた床に術式は命中し、召喚門が開かれ──エネルギーの奔流が現れた。
「余波、スッゴ!?」
強大過ぎるエネルギーが、衝撃波を生み出し俺を襲う。
その辺のセーフティはいっさい存在せず、容赦なく俺を殺していった。
「……『超越生者』の無敵化があったから踏み止まれたけど、こりゃあヤバい」
被害を考慮して迷宮で試射をしてみたわけだが、それは正解であり──間違いだった。
エネルギーは不壊の迷宮を壊すことはできず、被害自体は抑えられた……のだが。
ほんの数秒、門を通じて飛び出してきたエネルギーは不壊の迷宮内で暴れ回った。
どうなったかなど言うまでもない……光速で暴れ回るのだ、周りはもう滅茶苦茶だ。
「召喚時間はもう少し削れそうだな。ここは可変の部分にしておいて良かった。数秒どころかコンマ数秒でいい気がする……ぅ?」
なんてことを呟いていると、どこからともなくヒラヒラと一枚の紙が。
それ自体には嫌な予感を覚えない……が、その内容はある程度予感できてしまう。
「『外で使ったら禁忌だよby創造神』……ダメだったかぁ。まあうん、“検索召喚”自体はそういえばアウトだったもんな」
忘れていたわけでは無いが、この術式を俺にくれたのは『八大星魔:愚かな賢者』。
他所の世界に行っては、(基本)非合法な手段で術式をかっぱらう犯罪者である。
ただまあ、アイスプルで使う分には大丈夫らしい。
それもそれでどうかとは思うが……世界を護るため、グレーな合法なんだろうな。
※玩具の銃(名称は次回)
系統的には召喚系、都度セットした座標からエネルギーを引っ張り出して放出する
複数のタンクに溜め込んだ水を、ホースを繋ぎ直して取り出すイメージ(適当)
蛇口を捻る量次第で出力は変わる──今回の場合、水圧が異常だった形
p.s. 無字×1148
仕事はトラブル続き
作者も巻き込まれて予定が大きく狂ったり……
時間が欲しい、子供の頃はそんなこと思わなかったのに…………と最近そんなことばかり思う、老いたなと実感する作者でした




