玩具の銃 中篇
銃の形をして、召喚術式を組み込んだ魔道具を作ろう。
それだけ決めて、あとは:DIY:の能力値チートにお任せ。
「…………よし、イケるな」
数時間、才能ある者ならばもっと短縮できたであろう熟考で、アイデアを見つける。
集中すると時間の流れがゆっくりになるアレ、それを意図的にやってなお長考だった。
「魔道具だからな、構造はシンプルでイイ。召喚術式として通す門、そっちに制限を外側から掛けた方が効率的だ。だからそっちはいいとして……複数の入力形式に対応した構造にするためには……」
そのうえで、まだアイデアを設計図とするために時間が掛かる。
とはいえ、ここまでくれば比較的スムーズになる……一時間ぐらいだな。
魔物の素材は使わず、ファンタジー金属メインをふんだんに使った設計。
形状記憶合金、魔力を注ぐことで形を変えられる合金をベースとしている。
この辺は普段から『SEBAS』の補助付きでやっているためか、テンプレートのようなものが存在しており、UIに展開されたそれを弄りながら思考を発展させていく。
「魔力を流したとき、特定の信号を送ってその変化形態を指定する。音声なんだか属性魔力なんだかはともかく、それによって変形した姿が各属性エネルギーを仕舞った座標を召喚する術式になるようにすれば完成だ」
一度作業を始めてしまえば、:DIY:がほぼオートで進めてくれる。
加え、敏捷値も戦闘職を超えるレベルで高まっているため、傍から見たら倍速映像だ。
幾つかのパターンを形状記憶合金に覚えさせ、回路を構築していく。
そして、その妨害の対策や術式を読み取られないようにする仕組みも組み込む。
「合金の分リソースはある、召喚術式も座標数個分だからコスパはイイ。あとは、認証を俺だけに対応させて…………こんな感じか」
十分後、俺の手には銃が握られていた。
ヒーローやライダーなどの特撮物で使われそうな、デザイン重視な玩具染みた代物。
「『赤』、『青』、『黄』、『緑』…………最後に『無』。回路の組み換えは問題無し。次は属性魔力、最後に機構だな」
わざわざ複数の方法で回路を切り替えられるようにしたので、それらがきちんと機能しているのかを確かめていく。
やり方は初期案通り、“千変宝珠”で生成した属性魔力を注ぐ、そして魔力を籠めた指で特定の箇所に触れていく、だ。
それらでも、音声認識時と同様に回路が切り替わっていくことを確認。
そこでようやく、アイテムが出来上がったと認めることができた。
「出力は…………うん、確かめないとやっぱりダメか」
はっきり言おう、ノリに任せてやり過ぎたかもしれない……引き金を引く前から、もうすでに死神様の加護による警鐘がガンガン鳴り響いていた。
だが、アイスプルであればいちおう何をしても合法化される。
……下手な場所で使って、逸脱した連中に処されることが無いように試しておくか。
※魔道具の使い方
基本的には、魔力を籠めれば自ずと発動する
本来、魔道具は単一の機能なのでそれで充分なのだが……
出力の調整などができる場合、その辺は使用者次第となる
今回の話を要約するなら、その調整を複数の形式でできるようにした
p.s. 無字×1147
最近、自分が寝た……意識を落とした時間が分からない作者です
そのため、毎回スマホが充電できていません
仕事がひと段落つけばきっと……といつ到達するかも分からない未来に思いを馳せる、人の夢を抱く作者なのでした




