死天の試練二回目 その14
今回は別視点
当作品比1.5倍です
ツクルが単独で敵性ユニットへ挑み……数秒後には初期地点へ戻される、その無限ループに陥っているその頃。
「──『プログレス』、『クリエイター』シリーズ。システムと同種の枠の中で、構築した武技や魔技を蓄える擬似権能……興味」
「旦那様が現在用いている擬・武神流は、武技と魔技双方を連携・同期させております。詠唱は肉体の動作と魔力的付与効果を連動させ、状況に合わせ最適かつ効果的な戦闘が可能となっています」
「……効果的であると判断。しかし、使いこなせてないように推察」
「旦那様は複数の職業能力を同時に運用していますが、基礎値自体が低いため身体強化へと繋がる補正はほとんどございません。動体視力の強化や思考速度向上、また自損ダメージの軽減などが主な用途となっています」
転移し、宙に浮いたアルスナギマは眼下で行われる戦闘……否、作業を眺める。
彼の存在にとって、遍く存在する術式を識ること以上に至高の使命は存在しない。
ゆえにその視点も、『クリエイター』系の『プログレス』によって生み出された、類を見ない術式に重きを置いている。
……がそれでも、ツクルに注目せざるを得ない。
理由は単純、彼が死ぬ度に術式が途切れているからだ。
「元『超越者』、『星敵』、【救星者】……肩書はどれも上澄みの中でも最上位のものばかり。だが、何故?」
「旦那様は権能を複数保有しております。それは休人の身であろうとも、器が崩壊しかねません。ゆえに制約が設けられ、肉体強度に関する成長性を失いました」
魔力、器用度。
ツクルというアバターがレベルを上げ、成長させることができたのはこの二つのみ。
どちらも肉体強度を──■側の強化のみを行うモノであり、器の補強へと繋がる。
それらを繰り返しレベル999まで至ることで、ギリギリだが器に権能を収め終えた。
「休人の不死性、称号による補完、そして外付けの器である【救星者】。それにより、二種類の権能を獲得しました」
「身の丈に余る愚行、『騎士王』や『最高傑作』であろうとも困難」
「器を提供する失名神話の神々にとっても、旦那様の主張は利のあるものでした。多少、想定外の事態も起きたでしょうが……結果として、神話は力を取り戻しつつあります」
この時、『SEBAS』はもう一つ重要なファクターを省いた。
その存在──『魔王』は、冒険世界が公開しつつも秘匿している存在だからだ。
無尽蔵のキャパシティ、それを借り受けることで可能となったことも多い。
杯から水が溢れるのならば、他所に移せばいい……それが【魔王】と交わした契約。
零れていた権能の力を【魔王】は手にし、ツクルは十全な器を構築する環境を整える。
今となっては完遂された契約だが、繋がりそのものは未だ残り続けていた。
「理解……それでも、アレでは無意義」
「休人たちの世界に、これまで自分とは異なる体を自身で操作する技術はございませんでした。旦那様はそれ以前の、遠隔操作で行う類いのものは多く経験しておりますが、それらはあくまでも知識のみ」
「……素質が無い、と。把握」
元より、ツクルはMMOにおいて特別優れた存在では無い。
そしてそれはVRMMOにおいても同様、努力を必要とするタイプの人間だ。
「だからこそ、私は居るのです。達人にはなれないと自嘲する旦那様が、少しでも彼らに追いつけるよう……」
「出自は違えど似た存在であったか、共感」
「アルス・ナギマ様ほどでは」
「様は不要、呼び捨てを快諾」
「……では、アルス・ナギマと。敬語は私のアイデンティティですのでご勘弁を」
「了承。アレらの術式はセバヌスが構築していると理解、情報交換を提案」
「畏まりました」
ツクルは死ぬと擬・武神流を切り替え、新たな戦術での突破を試みる。
その際に用いられている術式を、『SEBAS』はアルス・ナギマに語るのだった。
※『SEBAS』のスタンス
創作物におけるAIの概念の中でも、人に尽くすことを求めるタイプ
そのため自身を生み出した虚弱な生産士を、サポートすることを至上とする
EHOの運営が保有するマザー然り、(見せられないよ!)然り、そういったタイプが多い
…………ある■■が■■する
p.s. 無字×1128(今回も長め)
帰宅、準備、作業……することなく爆睡!、起床(今)
変わらない一日を過ごす作者です
ただ……前話で書いた云々は、ある種いつか来ることだとは思っていました
無いなら書けばいいじゃない、そんなノリで始めた自称偽善者(初期はAllFreeOnline)
当時は時間もたっぷりあったので、書いて書いてどんどん書いて……保存の仕方が悪かったからか、変な所で行替えが入っていてその修正に追われた……なんてこともありました
ある程度書き、それでもあった時間の余裕で書いていたのがEHO…………だったような気がします
それが思い出せないくらい過去の話、ノリだけで書き続けた作品の、特に勢いだけでやっていた部分が感想を頂いた辺りです
やはり、ご都合主義の一言ですべてを解決することはできませんね……
その辺を改めた結果がEHO……というわけではありませんね
おそらくこちらの作品を読んでも、前話に挙げたようなことを思った方は居ると思われます
他にも様々な意見を頂きましたし、現実におけるオンラインゲーム環境下を想定するのであれば、だいたいその通りだなぁと作者自身思いました
それらすべてを満たす作品を、未だ書けていない作者にも問題があるんですよね……
まだまだ精進あるのみ、成長の余地はある!(成長速度は……うん)
書くのを止める、という選択肢はぶっちゃけ思いつきません
書きたいから書いているわけで、それを禁止されているわけでもありませんので
…………まあ、趣味の範疇です
書いていても税金が掛かるほど、読んでもらえていないのはPV数などを見れば明らかかと
それだけに注力するだけの余裕は山田武にはございません
なので、少しでも山田武作品を読みたい方(あるいは山田武作品に良くなってもらいたい方)に応え、確保できた時間の中でやり続けていく所存です




