死天の試練二回目 その10
くじを引くような感覚で、“検索召喚”の座標特定を楽しんでいる真っ最中。
失敗しても真空がすべてをリセットしてくれるので、まあ楽と言えば楽なんだよな。
「──前回取った分も含め、追加で獲得できて良かったよ。いやー、まあ当然と言えば当然だが座標を弄ってたか」
《……座標を変更することは困難なはずでしたが、それを可能にする術者がどうやら存在するようですね》
「星がやったとか、そういう感じじゃないのか? こう、管理者権限とかで」
《星としても第零魔道は秘匿しております。管理者権限での地形や空間の操作は可能ではありますが、必ずその痕跡が生じます……ですが、今回のソレには無い。ゆえに、特定が遅れてしまいました》
えっと、つまり……引っ越しに業者を使えばそれが分かるが、そうでなければ実際にそこを訪れるまで分からない……みたいな感じなのかな?
「そうなると……【魔導勇者】か?」
《その可能性が高いです……がしかし、もしそうでなければ恐ろしいですね》
「……それができるヤツが、まだ魔導世界に居るってことになるからか」
《仰る通りです。その通りであれば、『八大星魔』ではない強者──イレギュラーな存在がまだ潜んでいることになります》
冒険世界で言うところの、【魔王】のような存在がまさにソレ。
……あんな理不尽が他の世界にも居るなんて考えたくも無いが、まあ居るんだろうな。
閑話休題
前回同様の座標は使えなかったものの、ズラされた座標を『SEBAS』が演算して割り出した結果──闘技大会の時よりも多めにエネルギーを確保することに成功した。
初回で当てた風の領域、そして雷や氷や闇といった属性の領域だ。
それらを俺自身が使いこなすことは無いのだが、いづれ使い道は見つかるだろう。
「で、何度も試した結果これの耐性も付いて全然通じなくなってきたな……最後に一発、魔力多めでぶっこんで終わりにしよう」
《畏まりました》
上級動力炉をフル回転させ、増幅させた魔力を『オーバーサプライ』で俺に還元。
同時に職業能力を組み合わせ、クールタイムが増大する代わりに出力を強化。
また、『SEBAS』が術式を強化するための陣などを展開。
最後だからと盛大に──残されていた最後の座標を指定し、術式を起動する。
「“検索召……ッ!?」
《旦那様!》
これまでと同じ段取り、結果は敵性ユニットすべてを呑み込む災害が起きておしまい。
……そう思っていた俺を嘲笑うように、ソレはこの場に現れた。
術式により開かれた穴、これまでよりも大きいものの人が通るほどしかない回廊。
──そこからナニカが覗いている、そうとしか思えない圧が突如として俺を襲う。
死ねば強制的にリセットされる、秘匿された場所だから問題ない。
そんな甘い考えは通用しない──理不尽は世界を巻き戻そうと、変わらずこの場を覗き込んでいた。
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魔導世界、不明なアクセス、術式の解析完了
──逆流、ハッキング、侵入を開始する
p.s. 無字×1124
少し早く帰れた日…………何もできなかった
帰る前は、あれをしようこれをしようと悩みました
そのはずなのに……気づけば意識が飛び、日を跨いでいました
アレですね、体が理解しているんです
いつもより長く疲れを取る時間があると、ならばさっさと寝ろと……おらぁ、睡眠! ですね(遠い目)
なお、イメージはHPの回復……ただし最大HPが削れているのであまり意味が無い、な感じの作者でした




