死天の試練二回目 その06
自前で行う武具の瞬間切り替えなどなど、ちょっとばかり高等なテクニックを用いながら敵性ユニットの突破を進めていく。
アレから武具だけでなく“千変宝珠”による属性の切り替えも駆使していった……のだが、それでもまったく数が減らないように思える──だからこそ、準備は済ませてある。
「──来たか」
《旦那様……》
「『SEBAS』が送ってくれた、運営への確認事項に対する返答だ。間違いない……けど、間違いであってほしかったな」
初日の試練終了後、『SEBAS』が提案し送ってくれた質問を運営が見てくれた。
試練の詳細な部分に関する点はともかく、一番重要な点については記載されている。
「以降は試練の詳細にきちんと載せてくれるらしいな……『敵性ユニットの総数は、『死天』自身の死亡数及び、『死天』の効果により生成されたアイテムによる死亡数で決定される』。それがこの数──」
《──15,882,458体、ですか》
約1600万もの敵性ユニット……そりゃあ減ってみえるわけないよ、マジで。
これまで俺たちが倒してきた数など、所詮は氷山の一角でしか無かったのだ。
「こっちも来てるな。『一度に出現可能なユニットの数は1000体まで』……この数は初期から想定していたんだろうか?」
《一度に同時殲滅などができないよう、それ以上の数は補われず、1000体突破と同時に初期位置に戻す……ですか。数についてはおそらく、処理の限界でしょう。質と数、どちらも保つにはそれが限度だったのかと》
運営が用意した試練の舞台は、一種の仮想空間のようなもの。
そのため、その空間が許容できる範囲以上の事象は引き起こすことができない。
今回で言えば敵性ユニット、俺の試練に必要な数を一度に揃えることはできず、またできたとしても張りぼてとなってしまう……だからこそ、数に制限を入れてある。
「そうなると、遺製具とか『プログレス』を再現しなかったのも許容量の限界だったのかもしれないな……」
《おそらくは。ほぼ同等の効果を扱うユニットの生成、それ自体は可能でしょう。しかしそれに必要なリソースなどの関係で、断念したと思われます》
「……まあ、結構掛かるもんな」
人造ユニーク種や遺製具を製作している俺たちだからこそ、その辺も詳しいのだ。
創作物で神様が主人公に贈るチートほど、理不尽というわけじゃないんだよな。
だからこそ掛かる経費、リソースの運用には悩まされたりするのだが。
──敵性ユニットであれば、雑魚であろうと即死の性質確保が重要なのだろう。
「話を戻すが、さすがにそれだけの数が相手だとキリが無いな。一掃できても千体、つまり同じことを一万六千回だ……対策されるし絶対無理だろう」
《さすがに……はい》
まあ、ここまで言っておいてアレだが、結局のところ開始早々に核兵器を乱発すれば一掃自体はこれまでだってできた……が、さすがにそれは、と留まっていたに過ぎない。
数が数なだけに、こちらとしても手段を選ばずにはいられないところだ。
許容できる範囲と公にできる範囲、その辺りから導き出される俺の選択は──
※『死天』の試練
本編で開示された通り、死んだ数とその影響で敵性ユニットの数が決まる
……本来の対象はもっと幅広かったはずなのだが、当代『死天』があまりにも死に過ぎていたため、これでも運営側で減らしている形
p.s. 無字×1120
足が冷えやすい時期となった、そう感じる作者です
だんだん暑さも感じなくなっていますし、暖房を使うのもそう遠くないかも?
……去年、暖房はまったく使わず、コンセントを抜いたままだった作者からでした




