他天の試練 後篇
翔の試練は格上の敵性ユニットとの戦闘。
ただし、遺製具や『プログレス』は真似しない……運営側がそういったユニットの仕様にするのには、何かの意図を感じるよな。
「二人の試練はどんなものだったんだ?」
「私のはシンプルよ、味方ユニットを支援してボスを倒す感じね。『援天』として、広範囲に適切な支援ができないとダメってことなのかしらね」
「私の場合、迷宮をパーティー枠に誰も居ない状態で攻略する、だったわ。いろんな仕掛けがあったけど、それぞれの難易度はそこまで高くない代わりに、幅広い分野のスキルが必要になるタイプだった」
瑠璃と舞のクリアした試練について、聞いてみた。
どちらも何というか、一筋縄ではいかなさそうな感じだよな。
「瑠璃、その味方ユニットってどれくらいの強さなんだ?」
「そうねぇ……全員、アナタのアバターぐらいかしら? 相手は四足歩行の大きな……動物ね。ええ、味方みたいに真っ黒だったからよく分からなかったけど。で、何をされてもすぐにやられちゃっていたわ」
「…………そりゃあまあ。でも、魔法で支援されるだけで死ぬってのは、さすがに弱過ぎるんじゃないか?」
「あっ、そこまでじゃないわね。でも、支援以外はそんな感じかも。支援が無い状態だと攻撃は通らない、移動速度も歩くぐらいで防御も全然、回避なんての以ての外だし、攻撃は余波だけで消えちゃっていたわね」
俺、運営が定義する雑魚より雑魚なのか。
攻撃魔法で無くとも、何なら支援魔法のように俺を助けるための回復魔法だろうと、他者から受けたら死ぬ程度に虚弱な俺である。
だが味方ユニットがそれぐらい弱いと、さすがに味方であるかすら微妙だ。
最低限、支援という体裁は保つための調整なのかもしれない。
「全体への支援と個人への支援を何度も切り替えて、都度吠えた時に防音の結界を張ったり、あと回復もしたり……本当に苦労した気がするわ」
「お、おう……お疲れ様。舞もそんな感じで苦労したのか?」
「私はそれほど。『モンスターパーク』でたくさんの子を連れていけたから、召喚する従魔と違って入れ替えるだけならコストも掛からないから、私はちゃんと何をするのか教えるだけで良かったし」
触媒次第で何度死んでも呼び出せる召喚獣と違い、テイムによって従える個体は基本的に一度切りの命だ。
その分、強力な個体であっても召喚獣に比べてキャパシティを使わず、同時に組み込むことができる……パーティーは無し、というのが試練の仕様だったはずだしな。
舞が初代として『天』に選ばれた以上、以降の候補者もキャパシティ内での使役であれば問題ないはず。
「でも、育命世界に行ってなかったらクリアできなかったかも。あそこは多様性なら、どの世界よりも幅広いから」
「へー、俺も話には聞いているから、いつか行ってみたいものだ」
「うん、その時は歓迎するわ」
…………と、ここまで話していて打開策が見つかったかと言えばさっぱりだ。
何というか、『死天』の試練だけ厳し過ぎる気がするんだよな。
※『援天』/『孤天』の試練
当人たちはやや簡単そうに言っているが、そんなわけがない
スペラソカーの軍勢で大規模レイドを成功させたり、「ぼくたち(運営)のかんがえたさいきょうめいきゅう」を(少なくとも休人は)独りで攻略しなければならない
p.s. 無字×1114
仕事に追われ、疲労困憊の作者です
帰って、寝(気絶し)て、仕事に行って……のルーティン
……嫌なルーティンです
話は変わって、なろうでもついにアレが始まりましたね
ぶっちゃけ、現状からさして変わらない気はしますが、塵も積もれば山となりますし……
せめて、ジュース一本分は欲しい、そう希う作者でした




