他天の試練 前篇
現実
これまでの死因が敵性ユニットとなり、その突破が課題となる『死天』の試練。
時間加速空間で行われていたそれも、とうとう時間切れ。
千体以上のユニットを突破したにも関わらず、一度の出現数に変動は無かった。
それは俺の死亡総数が多いこと、そしてこの試練の面倒臭さが原因である。
「──とまあ、そんなわけでな。父さん、また久しぶりに[ログイン]はするけどイベントには参加できない期間に入りそうだ。そこまで長くはならないだろうから、みんなは気にせず楽しんでくれ」
我が家族は全員がいづれかの『天』を獲得していたので、全員が試練の対象者だ。
まあ、俺だけはその数が四つと多いわけだが、使いこなせているわけでもないしな。
EHOは初期から[ログイン]をしているが、アイスプルの開拓やら死神様の試練やらで俺は初期の頃のイベントには参加できていなかったりする。
後の方で復刻版が出たり、個人向けに再編されたバージョンが出てはいるんだよな。
……まあ、一番それが望まれているコラボイベントについては未定なんだけども。
「「「…………」」」
「……いやまあ、あの。うん、父さんも何となく分かってるんだぞ? 滅茶苦茶長丁場になるってのは。でも、いつかはやらないといけないわけだし……でも、そんな正気か? みたいな顔で見られるのはちょっと寂しい」
「だって父さんだし……」
「お父さん、さっき試練は死亡数の分だけ敵が現れるって言ったよね? ……それ、本当に終わるの?」
「そこは『SEBAS』がサポートしてくれるから……まあ、百回に一回ぐらいは死なないでどうにかなるな」
「「…………」」
うっ、子供たちの俺を見る目が厳しい。
瑠璃は…………ダメだ、逆に目をキラキラさせているのが嫌な予感しかしないぞ。
「ねえ、アナタ」
「…………な、何かな?」
「どんな感じなの!?」
「……『SEBAS』」
現実にも進出している『SEBAS』に頼めば、部屋の照明が落ち映像が投影される。
3、2、1……とカウントダウンが流れ、映し出されるのは『死天』の試練。
「物凄く長いから、抜粋と早送りでお送りさせてもらうぞ」
「……当たったら即死で、見えない範囲攻撃があって」
「死んだらそれと同じ敵性ユニットが増えるし、対処が楽な敵性ユニットを減らすとその分厄介な敵性ユニットが増える」
「「──無理じゃない?」」
投影される映像は、『SEBAS』により上手く切り抜きがされていた。
おまけにテロップで解説もされていて、家族も──俺以上に──試練内容が分かる。
なお、無理ではない……と思う。
かつての死神様の試練も、そんな感じで攻略の糸口がまったく見えないまま続き……途中でテコ入れが行われ、難易度が下がった。
「大丈夫よ、私たちの試練だって簡単じゃなかったけどもクリアできたでしょう? お父さんの試練もそう……ふふっ、諦めなければ何とかなるわよ」
「瑠璃の言う通り……だといいんだけどな。翔も舞も、何かこの映像を見て分かったら教えてほしい……普通にやるんじゃ、たしかに終わる気がしない」
それと同じとは言わないが、絶対にクリアさせる気のない試練は試練とは言わない。
──他の試練の経験者がここには三人もいるのだ、三人に寄ってもらい文殊の知恵だ。
ということで、他はどんな感じでしょうか?
ただし、全部最高難易度
p.s. 無字×1112
先日、頭痛に苛んだ作者です
……アレかな、気圧的なヤツ
頭痛の原因が睡眠なのかストレスなのか、この二択ばかりだったので、その可能性に思い至りませんでした
…………少なくとも、頭痛が激しくなる前に食べたラーメンが原因では無いはず、間違いない




