死天の試練初回 その03
ついに始めた『死天』の試練。
結界に包まれた初期地点から見える、膨大な数の死の体現者たち……一歩踏み出した俺は、再び元の場所に戻されていた。
「……頑張ればクリアできる、というのは所詮幻想なんだよな。クリアできないのは努力が足りないから、理論上できるんだからできない方がおかしい。ある意味真理なんだが、ちょっと違うんだよな……」
すでに検証は数十、数百とやっている。
そこから分かったことは──どうやら、目に見える死因だけがすべてではないこと、またその配置が都度変わっている点。
俺の視界が切り替わるのは、当然ながら死亡判定を受けたから。
だがそれを起こしたのは、目に見える敵性ユニットでは無かった。
表示させているUI、[ログ]機能に記載されるこれまでの戦死の数々。
載っているのは──『死因:圧殺』、『死因:窒息』、『死因:呪殺』……己の死因。
「目に見えない殺意が襲ってくる……!」
《ですが、分かりましたね──これまで一つとして、連続して同じ死因はございません。配置換えはそれが原因なのでしょう》
「これが一度受けた死因が、もう二度と出てこないって話ならいいんだけど……連続しないだけで、スパンが空けば出てくるみたいだしな」
幸いにして、死亡後は初期位置に戻されるだけでそれ以上のペナルティは無い。
本当はあるのかもしれないが、どうやらその辺は[称号]効果が作用しているようだ。
……それでも戻す、という特殊な処置なのは俺にメタを張った結果なのかもしれない。
徹底的に、ということではないのは、次代の『死天』がクリアできなくなるからか。
「もうちょっとトライ&エラーか? 何か思いつくことはあるか?」
《そうですね……現状ではまだ断定はできませんが、おそらくこの場の敵性ユニットには出現数において制限がございます。そして、撃破も可能でしょう》
「死を倒す、というのはよく分からないけどな。もともとの『死天』で作ったアイテムと同じルールなら、触れずに処理できればワンチャンあるか?」
《それこそが、『突破』という言葉に秘められた意味なのだと推測します。ただ死に続けるのではなく、適切な方法で死因を打開する方法を見出す……そういった目論みがあるように思えました》
うーん、普通ならそれでいいのだろう。
しかしながら、対策無しでは喧騒の中にも居られないような虚弱体質に、そこまで求められてもなぁというのが本音だ。
だが、俺にもそれならばという仮説が一つ浮かんでいる。
……数が多過ぎて分からないだけで、もしかしてこの試練は──有限じゃないのか?
あえて深くは語りません
……ここで語らずとも、本編がある種すべてを物語る(予定だ)からです
p.s. 無字×1109
この話が投稿されている頃、作者はWindows11へのアップデートを試みている頃でしょう
……次話が投稿されなかった際は、そういうことだとお察しください




