異なるルール 前篇
TCGのカードを実体化する。
きちんとセーフティが設けられたコラボアイテムと違い、『プログレス』によるソレは枷が外れていた。
武器一つ取ってもそう。
妖刀の類いには精神汚染の危険性があり、聖剣などであっても本来の所有者以外が扱えない……といった形にだ(例外有り)。
何なら、EHOに関するアイテムで無くても、そういったケースが存在するらしい。
曰く、フレーバーテキストが効果を発揮していると……創作物にありそうな話だよ。
「でも、それも不思議なことじゃない。そういうものだという認識、そしてそうあってほしいという在り方。『カードバトラー』に対する人々の願望を結晶、それが確認されている二種の『プログレス』なわけだしな」
《はい。とはいえ、それ自体がEHOの仕様というわけではございません。何らかの方法で仕様を突く、ということも決して不可能では無いでしょう》
精神干渉のアイテムや魔法に、EHO側のスキルで対抗したりな。
自分ルールを相手に強要できるかは、出力差があるかどうかが重要になる。
俺の場合は当て嵌まらないが主にレベル、高ければ高いほど基礎スペックは高い。
その強さがあれば、TCGのカードの効果だって軽減や減衰が可能となるだろう。
「…………『カードバトラー』一つ挙げてみてもこれなんだ。同じ時にやってた他のコラボイベント、それにそうじゃなくても主に休人を刺激しそうな作品の影響を受けた『プログレス』がありそうだな」
《そうですね。データベースによると、アイドル支援特化やアイドル系能力、スローライフ用能力や万能操縦能力、またこの世界には存在しなかった触媒を用いた能力を発動するものなど……いくつかございますね》
「アイラブにイセ村、ロードにモンパズか。最後のはジェムだよな……えっ、具体的に
どういうことができるんだ?」
ジェムは魔石のように扱うこともできる、モンパズにおいて特殊な力を秘めた宝石。
イベントを機にそれが休人により広められた結果、一時期原人側も大変だったな……。
今も今で陽石やらで揉めているが、それはまあ置いておこう。
まあ、ちょっと特殊な魔石扱いで今も仕入れられてはいる辺りで察してもらいたい。
《ランダムで周囲に展開されるジェムを集めて、それらの組み合わせによって異なる能力が発動する。また、一日一回獲得できる特殊なジェムを用い、それらのやり直しやキャラの召喚などが可能なようです》
「商権……とか、大丈夫なの?」
《コラボ関係の取り決めの際に、そういった部分は解決しているようです。[掲示板]でそういった相談をし、マザーAIがそのように回答している旨がございました》
「まあ、お偉いさん側で解決しているならいい……んだよな? どうしよう、『プログレス』の開発者だから責任取れ、とか言われてもどうにもできないぞ?」
《そういった問題も含め、EHO側との取り決めはできておりますので。『プログレス』の初期導入によって起きた出来事に対し、責任はEHO──つまりイーデ社側が取る。契約書もございますよ》
「そ、そうか……自分の好きな作品の製作者や会社に訴えられるとか、さすがに考えたくなかったよ」
やりたいことをやっているだけ、その結果なのである意味因果応報となりかねない。
……こういうところもフォローしてくれるのは、さすが『SEBAS』! である。
※権利関係
マザーAI様がだいたい何とかしてくれている
休人がやったこと、その影響などの調整も担当している
とはいえ、権利を後からどうにかするだけではアレな部分も多々あるので……その辺について、次回も語られることになる
p.s. 無字×1103
予定より早くやることが終わり……ならば、それ以外の予定もそうなる、そう思っていた時期が作者にもありました
余った時間はその分、ただ意識を失う(爆睡する)時間に……おかしいな、結局いつも通りの時間だ
余裕が欲しい、それを都度思ってしまう作者なのでした




