カードバトラー 中篇
「インストール──『カードキャスター』」
かつて行われたTCG『カードバトラー』とのコラボイベント。
そこで手に入ったカードを使いたい、そうして発現したらしき『カードファイター』。
……謎の現象として、『プログレス』が同名かつ似通った仕様になるらしい。
まあ、発現方法は職業としてなので、残念ながら俺では使えないようだが。
その代わり、戦闘面での使用は難しい異なる発現方法があった。
その名は『カードキャスター』、こちらもカード運用にリソースを傾けた擬似権能だ。
「『SEBAS』、解説を」
インストールした『カードキャスター』。
まったく同じ名称のモノが複数存在する中から、『SEBAS』が指定したものを選び管理者権限で扱えるようにした。
そして、それを発動。
──俺の腕にはいつの間にか、かつてのイベントで獲得した『カードリアライザー』が装備されていた。
機械仕掛けの装置で、カードを乗せる台座のようなものが取り付けられた代物。
そこにカードを置くことで、AR技術で投影する……というのが本来の仕様だ。
《こちらの『カードキャスター』は、『カードリアライザー』の装備を前提とすることでリソースを確保しております。戦闘には用いることもできず、あくまで本来の仕様同様に呼び出すのみです》
「まあ、それは望んだ通りだが……具体的に何が違うんだ?」
《呼び出したカードに、魂が宿ります。それらは本物ではなく、あくまで魂を模倣した擬似的なもの。ですがそれを使い続けていくことで、カードの情報を読み取り本物に近づいていくようです》
なお、まったくの本物というわけではないようで、魔物のカードであっても、バトラーが主であることを認識しており、基本的には逆らわない存在となっているらしい。
また、人族のカードも似たように本物に似ていくようだ……が、こちらの場合は少し特殊で、カードの基となった存在が生きていると初期状態のままなんだとか。
《混線、のようなものです。たとえば旦那様であれば『騎士王』や【円卓の騎士】たちをカードとして持っておりますが、彼らは生きております。本物が居る以上、世界に同じ存在は許容されません》
「成り代わる危険性ってヤツか……この辺はどういう仕様なんだろうな」
《単純な話、再現にはリソースを必要とするのでしょう。魔物であれば、低位階の個体は様々な職業でも扱いやすいように、使用する際に必要なコストが軽いのでしょう。強大な魔物は相応のものとなるでしょうが》
「人も同じように、それを押し通すために必要なリソースが足りなくなると……まだまだレベル的にも初期だからな。これがもう少し先になったら変わるのかな?」
《それは不明です。成長した担い手が、どのような思想を持ってカードたちと接しているかにもよるでしょう》
ただカードゲームをするために使うか、触れ合うためなのか、やり取りができる存在として求めるのか……そういう部分もまた、微妙にバトラーごとに異なるわけだ。
なお、同性異性に関わらず、また一部の人型の魔物であっても、むやみやたらに触れようとするとカードから反撃を受ける、あるいはカードが消失する事例もあるようだ。
そういった部分も、宿った擬似的な魂が作用しているのかもしれないな。
……うん、ソレとは関係なく嫌な予感しかしないので連中のカードは絶対禁止だ。
※『カード○○○○ー』
カードファイトを行うファイターと、あくまで呼び出すことがメインのキャスター
どちらも『カードバトラー』のカードを用いることで、擬似権能を成立させている
カードに自我が宿る者もいるが、そうでないものもいる
それは適性や■■■■など……、世界線が違っていれば、何か新しい作品が始まっていたかもしれない
p.s. 無字×1101
予定が立て込んでいる作者です
その日の体調次第で決行するのかしないのか……なんてことを考えるぐらいには緩いものですが
こういうとき、どこでも行けるドアがあればな……と思ってしまう定期
ただアレの登場で、交通網とかいろいろとアレだったんだろうな……と発展と衰退に(勝手に)思いを馳せる作者なのでした




