新機プロジェクト その30
アイスプル
後日談、というか総括のようなもの。
今後の大陸の住民たちに、寄って集っての大質問回が行われた。
規格外ロジカルシリーズの全貌を明らかにすると、俺が色々とズルをしているのがバレてしまうので、その辺はお茶を濁した。
特殊機構──[月兎]に仕込んだ擬似版の『プログレス』も同様だ。
独占技術とかそういうレベルじゃない、バレると上から詰められそうだからな。
「──とまあ、そんなことがあったわけだ。今回の件である程度証明も済んだから、しばらくは様子見ってことになるだろう」
『……狙ったか?』
「なんでだよ。いいか、風兎。風が吹けば桶屋が儲かるって言葉があってな、世の中何がどう作用するか分からないってことなんだ。つまり、完全に想定外だ」
何がどうなれば、量産機の登場から新大陸の誕生に繋がるんだよ。
……まあたしかに、『SEBAS』に相談したら段取りは付けてくれたけどさ。
「俺だってさ、大陸規模になるまで残骸を集めているような集団が居るなんて、把握してなかったさ。いろいろ大変らしいぞ、アレからしばらくして魔物も出るようになったって聞いたし」
『……残骸の継ぎ接ぎなのだろう?』
「第一に、使った残骸の中に冒険世界や魔導世界の迷宮の一部分が使われていた。そして第二、あの大陸の動力全てを賄えるような莫大なエネルギーが存在する。第三、なんかいろいろバグった……そういう理由なんだと」
『最後が雑過ぎるだろう』
要因、燃料、そしてなんやかんや。
それらが複合した結果、機械大陸には普通に魔物(機械系のみ)が出現し、それらを目的とする観光客も増えたんだとか。
迷宮核は存在しないようだが、何らかの意思は働いているのかもしれない。
付喪神……とはやや違うが、あの大陸自体が命を宿した……とかな。
「まあ、そのお陰で実践の場と材料集めが捗るようになったらしい。アクセスキーの複製はともかく、共通規格ロジカルシリーズについてはかなり盛り上がっているようだ」
『星の意に背いていないか?』
「息抜きだよ息抜き……ちょっと、そっちの方にのめり込んでいるだけで」
俺は基本的に、突拍子もないアイデアというものを出せない。
良くも悪くも普通だからこそ、これまでやれてきたんだよな……。
「定期的に情報の交換はしていくつもりだ。まあ、次に行った時にはまったく知らない場所になっている可能性もあるが……それはアイツら次第だしな」
『……貴様が始めたことだろうに』
いやいや、俺じゃなくて『メカメカ団』と機人族の皆さんね。
俺の知らない場所でも、世界は大きく動いている……それを知るいい機会だったな。
というわけで、これにて閉幕
次回以降は…………
p.s. 無字×1096
時間が無い(ry
予定通りにはいかないものですね……いつものこと過ぎますけど




