新機プロジェクト その22
交渉材料の一つ、それはイベント世界に隠された神代から存在する演算機。
その装置のアクセスキーを──『メカメカ団』に渡す、それが俺の計画だ。
「──と、いうことで。皆さんにはこちらのアクセスキーを複製していただきます。それが、この大陸の者たちに星々が課す依頼と言えましょう」
『…………』
転移門が繋がり、こちらに来ていた各世界の『メカメカ団』──そしてこちらに来ていた機人族たちを集め、俺はそう告げる。
すぐ近くには逸脱した連中。
彼らの向ける真剣な眼差しに、『メカメカ団』も機人族たちも圧を受け……否、彼らはただ一点を見つめている。
「その様子ですと、どうやら説明は不要のようですね」
「い、いえ……先生。それは、どのような物なのでしょうか」
「かつて、遠き昔。神代に生きる者たちが生み出した、高度なシミュレーターです。指定された状況を、入力した情報を基に演算して未来を映し出します。その精度が凄まじく、運命に干渉できるほどとされていました」
「されていた……つまり、今はできない。そして、先生の持つ鍵がそうなんですね」
「五十点、ですね。私の持つこれは、彼らが残したプロトタイプ。アクセスは可能でしょうが、それは回数制限付き。いづれは無くなると分かっているものを、そのままにすることもできません」
彼らは知らないが、俺という存在から奪えないからこそこの状況がある。
独占は不可能、ならばそれぞれで確保できればいい……そのための彼らだ。
「その、演算機の方をどうにかする……ということはできないのでしょうか? えっと、今は『プログレス』があるから、今とは違うわけですし」
「……運命に干渉できる力ですので。あまり大々的に出せないんですよ。そう、もしも機械の機能をコピーできる、なんて『プログレス』があって。その対象に演算機ができてしまえば……即刻処断の対象でしょうね」
そう言った時、見知った休人が一人反応していた気はする……が、今は何も言うまい。
おそらく、スペック的に無理だろうから大した問題じゃないからな。
「なので、本体ではなくこちらの鍵の複製のみを貴方がたに依頼します。同時に、こちらの誓約書にもサインを。確認していただいて問題ありませんが、要は演算機と鍵の情報を口外しないという内容です」
「……書かないなら?」
「特には。ただ、この依頼からは外れてもらうことになりますね──[掲示板]等もその対象ですので、ゆっくりと考えてから依頼を受けるかお考えください」
報酬はある意味、この大陸の存続……だがそれだけではつまらないだろう。
事前に『剣矢』たちを通じ、その辺も交渉しておいた。
「成功報酬として、各世界から価値の高い素材が送られます。また、複製できた鍵の数や使用可能な回数なども考慮して、希少な素材が送られることになっています」
「! ……そ、その、具体的にはどういった物が?」
「こちらがリストですね──皆さん、それだけの価値があること、そしてそれを任される意味をお考えください」
俺が渡したリストに群がる休人たち。
機人族たちはそうでなくともやる気満々なのだが、あちらの場合は現金な連中が多いからな……。
俺もこっそり、鉱石やいつものポーション二種などを入れておいた。
──結果は言うまでもなく、ノリノリな連中は誓約書にサインしていくのだった。
※軌謀神算機
イベント世界に存在する、超高度な演算機
神代において────(見せられないよ!)の結果、封印されることになった
p.s. 無字×1068
どうにか寝る前に投稿中の作者です
よわよわな意志で、何とか……
執筆は…………無理そうかな?
寝てスッキリした方がアイデアも出る……はず
そう、これはいわば戦略的撤退!
ベッドに行けばすぐにでも寝れること間違いなし、正直瞼が重い作者でした




