新機プロジェクト その03
暗躍街 中立域 情報屋
「──あー、悪い。今は立て込んでるから手伝えない」
機人族たちの大移動は、休人たちによって引き起こされている。
そう思いたい、信じたい俺はその証拠を得るべくタクマに助力を求めた。
「……ってわけなんだが、ダメなのか?」
「変なところから言うなよ。例の機人族たちの話だとは思うが、今はそれ以上にいろいろと揉めてんだよ……全部お前のせいでな」
「そうなのか?」
「原人関係、だけで言うなら一番は機人族の話だろう。だが、休人たちだけでやらかした話もあるんだよ」
RSプログラムの導入、それにより固有種の討伐が直接的な力となった。
遺製具は装備という形を取る以上、身に纏える限度と発揮できる性能に限界が生じる。
だがRSプログラムの場合、固有種の力をそのまま取り込んだうえで、本来のままかある程度制御した出力にするかを選ぶことができる……まあ、魔石がそれなりに必要だが。
「もう居るんだよ、ユーザーに討伐者が。その情報が[掲示板]から広まって、今は固有種狩りの真っただ中だ」
「……凄いな、ソイツの運」
「偉大なる女神様に感謝だとよ」
「…………凄いな、さすがはうちの奥さん」
固有種の数には限度がある。
どれだけの需要があろうとも、供給側に負担のいっさいを委ねている以上、結局は早い者勝ちの奪い合いとなってしまう。
「タクマは固有種の場所を売ってるのか?」
「心当たりはいくつもな。まあ、そっちについては【情報王】の会社で取引しているだろうから、メインじゃない。俺が関わってるのは例の機械の方だ」
「共通規格ロジカルシリーズ?」
「……そう、その長いヤツ。お前がそれの動力源を出し渋っているから、そこについて知りたいヤツが増えてるんだよ」
規格外版と違い、共通規格のモノには星の理がまったく関わっていない。
そうなるよう研究を重ねた結果、作り上げたのだが陽鉱石と陰鉱石。
現状ではアイスプルでのみ採掘可能な鉱石だったが、正確に言えばそうではない。
星の理が作用していないからだろう、どうやら頑張れば再現できるようで。
一部の『プログレス』で鉱石を発見、また異なる『プログレス』でそれを増やして……といった形で広まっているんだとか。
生成量などの関係で数はそこまで無いようだが、俺の手から離れたというのは大きい。
タクマに求められる使命は、その複製版の製造元を突きとめることなんだとか。
「というわけだ、すまんがもう少し待つか自分で何とかしてくれ」
「……まあ、たまには仕方ないか。最悪、直接行くか知ってそうな他の人に当たってみることにする」
「そうしてくれ。メカ好き連中が盛り上げてるみたいだから、その辺を当たってみれば何か分かるかも…………って、どうした?」
「いや、もう問題は解決したからいいや。あとで報酬は出しておく」
休人主導である決定的証拠、さっそく手に入れてしまった。
お礼はそうだな……それっぽい『プログレス』の情報を、後で送っておくとしよう。
※『プログレス:メタルアルケミー』
とある(作品に感銘を受けた)休人集団が発現している『プログレス』
存在しない金属を生み出す、またそれを用いた事象改変などを行なえる
義手とか全身鎧とかそういうことではなく、どこかの漫画でやっていた理想を可能とするために、未知の鉱石を生み出すという形で『プログレス』が出来上がった
p.s. 無字×1050
アイデアを出すだけで時間を数時間消費した作者です
……書けば書くほど、作者が知らなかった情報が増えていくんですよね(遠い目)
そろそろノベプラの方にいろいろと出さないといけませんね……落語(擬き)など、体裁を整えたものを纏めなければ




