表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
298/3051

受け渡し



 簡単な話、それが罰だと言われた。

 四天王であるのに【魔王】の言葉に異を懐き、確証もないのにそれを口にしたのがダメだったらしい。


 詳細は聞いていないが、本人にとってかなり重要なことを否定されたとのこと。


「もともと実力はあるが人間を下に見すぎていてな。それは理解しているだろう?」


「まあ、殺されかけましたからね」


「そして今回、その舐めていた人間に負かされた……四天王としては許され難いことだ」


 弱肉強食……といったところか。

 そういう制度を星に用意してないから、うちの魔物たちはのんびりしてるんだけどな。


「四天王に憧れる者たちに敗北を見せた、それはもうクビと同じだ。【勇者】や【英雄】ならばまだ同情も買えるが、『超越者』の存在は上位の者や知恵ある者しか知らない……どうしようもない」


「それで私にあの子を渡すと……それこそ、私が殺すかもしれませんよ」


「そうであったならば、それが奴の運命だったと思うだけだ。それだけのことを……奴はしでかしたのだから」


「──ッ!」


 冷酷な瞳を、このときの【魔王】は浮かべていた。

 どうしようもない未来、それが確実にあの子へ待っていると気づいてしまう。


「…………【魔王】直々に周りに伝えてください。あの子が俺のところに来ても、反逆者として扱わないと」


「ああ、分かった」


「城に連れることもダメなのでしょうか?」


「ダメだ。我は思わぬが周りから見れば、それは諜報活動でしかない」


 さすがに無茶な願いか。

 あとで帰してあげられるように、してあげたかったんだが……スパイ疑惑がある者を受け入れるほど、周りも寛大じゃないか。


「とりあえず、あの子は【魔王】が俺との交友関係のために送りだした外交官とでもしてください。できるなら四天王とは別の新たな役割として、重要な仕事としてです」


「ああ、『超越者』の一人と手を取り合えるのだ。分かる者ならばその重要性が理解できる。任せておけ」


「周りが不満を挙げた時のために……いちおう、これを渡しておきます」


 物で釣っているみたいで嫌なんだが……俗物な奴らは、これで納得がいくだろう。

 取りだしたアイテムを、【魔王】に渡す。


「──確実に状態異常が回復するポーションです。枯血でも欠損だろうと、高位の呪いでも治せます。体の一部にかかれば使用できますので、生を謳歌したい者ならば必ず価値が分かるでしょう」


「…………よく分かった。こちらも全力で動くことにしよう。受け渡しまでの間、奴の保護は我が直々に行う。任せておけ」


「ありがとうございます」


 裏切り者フラグを立たせれば、【魔王】をよく思わない者に殺されてしまう。

 これはそれを認めさせる対価、まあ解析してもまったく分からないと思うが。


 この後俺は転位して星へ還る。

 すべての処理が終わるまで、まだ時間がかかるからな。


 次に会うのは──数日後だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ