天へのお知らせ 後篇
イベント世界 闘技島 ホテル最上階
さっそく保有する『天』の一つ、『巧天』の試練をやってみることに。
受付はイベント世界の闘技島でとのことなので、そちらへ赴いた。
「申請はこれで良し、と……試練内容が表示されたんだが。これは……なんとも厄介な」
個室からタブレット端末を操作し、新たに表示された『天』の殿堂入りを賭け、試練を受けるよう申請を出す。
すると待つこと数秒、申請の受理をしたという画面と共に、試練の詳細な内容も同時に掲載されていた。
こういうものは始まってから判明するものな気もしたが、今の時代情報の拡散は速いだろうし、いちいち隠すよりもこういったオープンな感じの方が楽なのかもしれないな。
《──規格外のアイテム製作、ですか》
「要はレシピに載っていない、『巧天』だけのオリジナルアイテムを用意しろってことだな。まあ、それ自体は今までも何度もやってきたからいいんだけど、問題は:DIY:がやっぱり使えない感じなところか」
万能製作チート:DIY:なのだが、欠点の一つに他の製作補正を使えないという点が挙げられる。
実際、【生産勇者】や『巧天』との併用ができず:DIY:を使わない時もあった。
……逆にそっちの二つであれば、併用することができるんだけどな。
今回は前提として、『巧天』を使用して作れという試練らしい。
そのため、アクティブな効果である能力値の無限化などは使えなくなる。
「パッシブ効果なレシピ全開放とどこでも生産能力はそのままだけど、今回はあんまり関係無いからな……規格外、と言われても具体的にどうしたものか」
ある意味、『プログレス』もまた一種の規格外な存在といえよう。
これまでのEHOのルールから外れ、新たな常識となったわけだし。
「制限時間は一日。だけど、時間加速を付けてくれる。道具は持ち込み自由。素材も一般に出回っている物なら無制限、そうでなくとも数に制限はあるけど用意してくれる。凄い好待遇だな」
《試練の課題としては、そうですね。ですがこの試練で製作したアイテムは、そのまま寄贈されます。レシピもまた、今後の『巧天』であれば閲覧できますので……そういった意図があるのでしょう》
「受ける以上、拒否権も無いみたいだしな。『プログレス』を組み込んだ生産だと、他が真似できなくなりそうだ」
もちろん、それを踏まえての『巧天』ならばいいんだろうけど。
俺の場合は:DIY:が主だろうが、今回それには頼れない。
「試練は明日、どんな物を作ればいいか……ちょっとワクワクしてきたな」
これまでの経験、製作したアイテムを活かせば達成自体はできるだろう。
──ただまあ、先に何を作るかは明確にしておきたいけどな。
※規格外アイテム
規格=レシピ化可能な生産アイテムではない、オンリーワンな特注品
ある意味、遺製素材を使ったアイテムは全部そう
……今回の場合、それを用いないという前提での製作が求められる
p.s. 無字×1026
社会人になって、有休についていろいろと思うところが増えた作者です
全部を使い切らない、その選択を取れる方がどれだけいることやら……
ただ、有休をとったからと言ってやりたいことも特に思いつかない
こう、旅……と言わずとも電車に揺られて移動なんてのは心そそるものがありますけど
…………地方暮らしの電車移動では、ただの往復なんですよね(笑)




