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虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
継承の刻、天を放し窺うは機

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天へのお知らせ 前篇



 失名神話の喧伝、喧しく花火を用いて伝えたそれでイベントは幕を閉じた。

 ムー世界は現在閉鎖中、休人たちは暫しの休息期間に入る。


「──報酬として陽珠は手に入らないか。休人が一番欲しいのは、アレなんだけどな」


 イベントでの貢献によって手に入るポイントは、アイテムと交換することができた。

 その中には、ムー世界でしか手に入れられない物が含まれている。


 休人たちがもっとも欲しがっていた物、それは無尽蔵のエネルギーを太陽光だけで生み出すことができる陽珠……しかしそれは、交換できるアイテムの中には無かった。


 それもそのはず、陽珠は現在【太陽帝】にしか生成できない代物。

 ──あくまでも、今はという枕詞が付いているけどな。


「それでも、陽石は数量制限はあるが手に入るからな。そっちの解析は順調のはず……再びムー世界への渡航権が発効された時、あっちの世界は荒れるだろうな」


《旦那様はいかがされますか?》


「あの時言った通り、今の状態を守るために尽力するさ。少なくとも、俺を信用している間はな」


 ──俺の渡航権は停止されていない。

 それが【救星者】の権利なのか、それともあちら側でそのように計らってくれたのか。


 いづれにせよ、俺が必要とあればムー世界へ向かうことができる。

 ……後半戦の初期同様、拠点だけ確保して人形たちに後のことは任せるつもりだがな。


「そっちについては、まあ連絡手段は渡してあるから、必要になれば何とかなるとして。喫緊の問題があるよな…………まあ、ついに来たなって感じだけど」


 それは運営から、限られた者たちに届けられた[メール]。

 彼らは同じ証を手に入れ、そしてそれを誰にも譲らずに保持し続けた猛者たち。


 その証の名は『天』。

 闘、魔、巧、援、そして──拠点とする世界ごとに名の違う冒、武、術、製。


 これら表の『五天』が各世界に独りずつ、もう一つすべての世界の中で独りずつ選出された裏『五天』──暗、壊、孤、統、死。


「今までは何だかんだ、俺はその地位を維持し続けてきた。ショウは真っ当に、匠の獲得者と継承戦で勝ち続けていたみたいだけど。そういえば、俺には何も無かったな」


《旦那様の場合、人形を含めた経験などからその座は保たれました。また、継承戦についてもコピーユニットでの代理戦を行っていました》


「…………えっと、勝てるのか?」


《純粋な戦闘力ではなく、各分野における頂点を競うものです。そして、代理のため私の『プログレス』が使用可能でした》


「おお……なら何も無かったわけだ」


 万能執事AI『SEBAS』、彼に発現した『プログレス』は主体性が無い代わりにほぼ万能な擬似権能『セバスチャン』。


 どうやら、俺の代理ユニットを操縦して継承戦をやってくれていたらしい…………いつの間に。


「えっと、いろいろと大丈夫だったか?」


《情報の秘匿性、私自身の処理能力、また相手側の情報収集など。どのような観点からでも、問題は無いでしょう》


「……疲れてないか? 何なら、ちょっとぐらい休暇を設けてもいいぞ? いやまあ、俺一人じゃどうにかならないし、風兎とか何ならルリにも頼むし」


《いえ、本当に大丈夫です。ですが、今回の指示は継承戦のものではありません……旦那様のお手を煩わせてしまいます》


「俺の方は何もしてなかったからな、それぐらいなら問題ない。殿堂入り、いったい何をさせられるのやら」


 届いた[メール]の内容、それは殿堂入り認定を賭けた特殊イベントのお知らせ。

 いつまでもその座を保持する者たちを、ある意味強引に追い出すためのイベントだな。



※継承戦

『天』へと挑む資格を持つ、『匠』たち固有のイベント(裏『天』には『匠』が存在しないため別)

イベント世界の闘技島にて、定期的に挑戦することができる

『天』側は自身、あるいはコピーユニット(制限を自由に付けられる)を用意しての防衛戦を行い、その勝敗で『天』と『匠』が入れ替わる

なお、『匠』には継承戦が発生せず、各分野でより秀でた者が現れた場合、自動的に降格・昇格となる(挑戦期間同様、一定期間での功績で決まる)


p.s. 無字×1024

知らない情報が湧いて出てくることに困惑している作者です

……ノリって怖い、勢いのままに書くといつの間にかそうなっていたりします

果たして天上の皆様方は、どのように書いておられるのやら

同じなのか違うのか、そもそもそんなことが無いように心掛けているのか……矛盾が今から怖い作者でした

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