ムー襲来イベント後篇 その18
俺は【太陽皇】たちに対する餌として、王宮に軟禁されることになった。
そりゃあ【太陽帝】が毒殺されそうだったわけだし、ある意味仕方ないんだけどな。
「──よし、飽きたから出ましょう」
とはいえ、俺もずっと部屋に引き籠もって居たいわけじゃない。
すでにイベントも佳境、大型の個体も前線の方ではかなり出ているそうで。
そして、【太陽皇】の一部が休人たちと共闘しているという情報もある。
自らの力を誇示しつつ、お姫様以上に自分が次の【太陽帝】に相応しいと語るそうだ。
ともあれ、そんなイベントが終わりそうな状態にあっても何もしないのはさすがにつまらない……王宮内でできることは、情報収集含めだいたい終わらせてしまった。
そもそも【太陽皇】の行動パターンを把握し、顔を合わせないように動くのもだいぶ飽きてしまっていた……何なら、【太陽帝】に密告したら即脱落な証拠も掴めている。
この世界において、陽素が絶対的だからこそ突ける隙が多いのだ。
具体的にはドローンに『光喰い鳥』同様の機構を組み込む、それで充分だった。
「権力闘争は、しばらく控えてほしい……というより、私が居る間はソゥソル様固定で行きましょう。はい、そう決めました!」
大前提、【太陽帝】が死ななければ就職クエストは達成しない。
なので現就職者たるソゥソルが生きていれば、相続問題など起きないのだ。
とはいえ、問題の一つとして【太陽皇】の厄介な能力が挙げられる。
──【太陽皇】同士で殺し合うと、殺した側に全特殊リソースが渡るのだ。
この場合の特殊リソースとは、即ちこの世界における権限。
つまり陽珠や陽核など、星の恩恵を独占するための権利を奪い合っていた。
全体の半分が【太陽帝】、残った半分をすべての【太陽皇】同士で等分する仕様。
彼らは自分以外のすべてから、それを奪い力を付ける必要があるのだ。
「というわけですので、私は親『現帝』派として動きます。それでいいですか?」
『──それが、アイスプル世界の選択ということで良いのか?』
天井に──否、天上に向けて声を掛ければ答えが返ってくる。
太陽あるところ【太陽帝】在り、ムー世界であれば遍在すら可能だろう。
「いいえ。ですが、先の誓いが破られない限りは、私は貴方を寿命以外の死から逃がして差し上げましょう……『超越生者』、最弱の星敵の名に懸けて」
『……楽には死ねぬか』
「これから先、そのような弱音を吐くことなどできませんよ。激動の時代、問題事が解決すればまた次がやってきます──そうなる前に、為すべきことを為しましょう」
脱出するだけならとても簡単。
アイテムを取り出して使用、セーフティ機能が掛かっていない闇属性爆弾の爆発で死んだ俺は[死に戻り]を選択する。
一時的に太陽の恩恵から外れた俺に、手を出せない【太陽帝】。
あとは復活地点を書き換え、一度アイスプルへ戻り──再度ここに来るだけだ。
※【太陽帝】/【太陽皇】の保有リソース
擬似的に神格同様、信仰によってリソースを獲得している職業の器
全体を100とした時──前者に50、後者はもう50を現存する器で等分した量を獲得できる
また、【太陽帝】は極級職と同様にレベルを無尽蔵に上げられるのに対し、【太陽皇】は超級職と同じく外付けではあるがレベルの制限が存在する
──同名の器が減らない限り供給量は変わらない……そして、己の意志で減らすことでその器にはより多くのリソースが流れ込む
p.s. 無字×1015
病院に行ってきた作者です……電気、イイですね
指の方も原因が判明……想定と違ってましたよ、ハハッ(乾いた笑み)
少々入力するのに面倒だった痛みも解消されましたし…………うん、いつも通り頑張ろう!




