ムー襲来イベント後篇 その10
ムー世界 隠れ拠点
タイミングを計り、ついに俺はムー世界へと降り立った。
やりたいことをやり遂げるため、どんな立場になってでも……そう誓って。
《旦那様、まずは入室を》
「了解っと」
足を踏み入れた俺を迎え入れたのは、まずその太陽の恩恵だ。
日の光を浴びる、その行為がもたらすものは体温の向上だけだと思っていた。
だがこの世界では違っていたようで、ただ光を受けただけで精神的な高揚すら感じる。
それ以上の思考より早く、『SEBAS』からの連絡が入り──即決で動く。
ちょうど眼前に転送されたようで、壁の隙間にできた細い道に手を伸ばす。
その手にはドアノブを握り締め、あとはコマンドを告げるだけ。
「──“アナザードア”」
脱獄時にもお世話になった、異空間に繋がるドアを生み出す『プログレス』。
予め派遣したドローンを介し、異空間に拠点を設けてあったのだ。
ドアノブを捻り開いた先は、ぐにゃりと歪み捻じれた空間。
資格を持たない者を拒むその道を、俺は通り拠点へと入った。
「うん……死亡[ログ]は停止っと。日の光でまた死ぬようになってたな」
《理の力により、強化されていたと思われます。現段階で、ムー世界の理は陽光に関するものであり、太陽については永続的に存在することが確認されています》
「……眠らない街って、そういうことじゃないと思うんだけどな」
要するに日が沈まない、陽石や陽珠がどんな時でも無尽蔵にエネルギーを生み出す、そういうエネルギー問題の一切合切が存在しない世界なのだろう。
それが【太陽帝】──人ではなく職業の概念そのもの──が統治する限り在り続けるのだから、誰も彼もがその支配を認め、世界そのものを統一するようになったのだろう。
「つまり俺は、この世界に居続ける限り日が当たる場所ではずっと死ぬわけだ……吸血鬼の同族かな?」
《現在、『光喰らいの禍玉』を改良・強化した物を開発し、日傘として扱えないか検討中です。どうやらアストロシリーズには、直射日光による強烈な紫外線を防ぐ物もありましたので……》
「直射日光」
《星という膜を持たないまま、日の光を浴びることは肉体にとって害となります。この世界の者たちは、ソレに適した進化を遂げておりますが……休人たちはそうではないため、長時間の活動は弱体化に繋がっています》
肌が焼ける、が更に凶悪になった仕様だ。
体内を巡る身力の循環を妨げ、結果的に正常なスペックで力を振るえなくなる……そんなデバフ環境となっているムー世界。
生産職的には、日焼け止めを作ってどうにかしているらしい。
それでもずっとは持たず、希少な素材を集めて戦闘職に供給しているのが現在だ。
※ムー世界の理
とにもかくにも太陽賛歌
偉大なる太陽の恩恵が、世界を遍く照らしている
太陽によってエネルギー問題は存在せず、太陽によって人々は安寧を築き、それゆえに太陽は人々からの信仰を得ている
──それゆえに太陽の血族もまた、その御業を示すのだ
p.s. 無字×1017
のどの痛みの原因が、なんだか分からなくなってきた作者です
そもそも、どの辺りが痛むと何が原因なのか、またその解決方法が分からない……という感じです
薬を飲む、ぐらいしか思いつかない
ただし、喉のどこに効くのがいいのか分からない……とりあえず、これまで飲んでいたものとは別のモノに切り替えた作者でした




