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VSミストゴースト 後篇



《旦那様、解析が完了しました》


「それで攻撃の方は?」


《モルメスで死傷、仙具で重傷、魔道具であれば軽傷が与えられます》


「なら最初は魔道具でやってみて、段階ごとに強くしていくか」


 いきなりモルメスで攻撃しなくて、本当に良かったと心の底から思おう。


 前に来たときに彼女が四天王の中で一番弱いことは分かっていたが、始めから全力で闘いを始めていれば……最悪殺してしまって魔王軍と全面戦争なんて展開になっていたかもしれない。


(それは……勘弁被るからな)


 ただの虚弱生産士に何を望むんだか。

 手に入れた平和な世界で引き籠もれば、おそらく誰も俺に危害を加えられないだろう。

 だが、俺以外には危害を加えられる……家族との合流は安寧の必須条件だな。


「なんで、なんで死なないんだよ人間風情がこれだけやっても!」


「……おっと、すみません。考えごとに耽ってしまい。それで……なんでしたっけ?」


「くそがぁあああああ! 人間がぁあ! このわたしにぃい! まおぉさまの目の前でぇええ! 恥をさらさせるのかぁああああ!!」


「落ち着いてください、カルルさん」


「汚い口でわたしの名を呼ぶなぁあああ!」


 おふっ!

 もう止めて! 私のライフは0よ!


 彼女の種族はミストゴースト、霊体を霧のように周囲に散布することができるらしい。

 そうして散った微粒子の一つ一つが個とした魂、痛覚は共有しないがすべてを滅さない限りは死ぬことがない──分霊箱みたいな能力の持ち主である。


 正直、掃除機を使えばそれぐらい簡単に吸い取れるのだが……吸った後、少女がどうなるか微妙なので使えない。

 四天王を吸い込めるアイテムを持っているなんて、危険視されるだけだしな。


「だからこれ──『七つ星の虹剣(レインスター)』」


 七色の星が尾を引くデザインが施された鞘に仕舞われた剣、それを引き抜く。

 星同様に七色に輝く剣身が、光に晒されて眩しく光る。


 近くを漂っていた霧に向け、それを突きだすと──少女の悲鳴が上がる。


「五感にプラスして精神と魔力、どれか一つだけにダメージを与えるアイテムです。しかも、強制的にダメージが接続されますので周りにも響きますよ」


「痛ぁあああああい! なんで、なんで痛いの!? ふざけるな、ふざけるなよ人間ごときがぁあああっ!」


「人間ですが何か? あまり人類を舐めないでもらいたい。たとえ貴女がどれだけの力を持とうと、私以上に強い者ならば圧倒的な範囲攻撃で倒せます。相手を舐めて周囲に漂わせていたお蔭で、そういった攻撃がなくとも勝てそうです……感謝しますよ」


「────ッ!」


 声にならない悲鳴が、辺り一帯に木霊していく。

 バラバラになった魂の一つ一つが、剣を刺した痛みを感じているんだもんな。


 いちおうセーフ機能として、一定以上のダメージを受けると中に仕込んだ精神安定と気絶誘導の魔道具が作動して戦闘不能の持ち込むんだが……あっ、人型に戻った。


 こうして俺は【魔王】の四天王を相手に勝利を掴むのだった。



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