ムー襲来イベント後篇 その05
アイスプル
ムー世界の鍵の少女に負担軽減用のアイテムを渡し、渡航権を貰った。
これで俺も、ムー世界へと向かうことができるように。
「偵察機もちゃんと用意したし、監視型も用意した。人形たちは……止めておくか。あちらにも、特級職(仮)が居るやもしれんし」
その星において、もっとも優遇された存在こそが特級職。
予想が正しければ、そんな特級職を更にカスタマイズしたのがムー世界の【太陽帝】。
その力がどこまで及ぶのか、分かっていないのであまり派手なことはできない。
……まあ、すでに休人たちが潜り込んでいるので、その範疇に留めればいいんだがな。
《機械だけでなく、精霊などによる偵察なども行われているようですので。隠密に動く分には、あちらも見て見ぬふりをするのでしょう。目的を果たすため、使えるモノは使う。そのような考えかと》
「映像に出ていたあの【太陽帝】な。あっちも来ることは想定していたし、この後俺たちにどういった行動が求められているのか、それが問題だな」
基本は材料を集め、他の休人たちが来れるようにするのがベストだと思う。
だがその先、全員集まって『闇』とやらに挑み……どうするのか。
目的を終えたら二度と来ない、というのならいいのだがそれはおそらくない。
日の光さえあれば、無尽蔵のエネルギーを生み出せる陽石や陽珠はまさにお宝。
休人であっても原人であっても、その存在に価値を見出し手に入れようとするだろう。
そのためには、ムー世界の偉い人に近づくのが手っ取り早いわけで……。
うん、今は気にしないでおく。
イベントの目的はあくまでも、『闇』をどうにかすること……その先を見越してどう動くかは、せめて行ってから考えよう。
「よし、接続設定完了。ドローンを送っていくぞ」
《──転送完了。映像……明瞭です。さっそくスクリーンに投影しましょう》
渡航権を得たことで、アイスプルからムー世界へ向かうことができるわけだが、俺は他の休人たちと違い、星に設置された渡航用の門を管理する立場に在る。
その立場を使えば、門のシステムを流用した転送も可能だ。
そう、家族への転送もドローンの先行もだいたいこんな感じで行っている。
人が転移系の力を使うよりも、詳細な設定ができるからな。
追加で座標などを仕込んでやれば、コスパ良く大半の物は送ることができるのだ。
「そもそも、人の身で星を越えた転送は難しいからな……例の次元属性を使わないとまず不可能だし」
ともあれ、そうしてドローンが世界を股に掛けた移動と偵察をする。
休人にも原人にもバレないよう、世界の情報を集めていこう。
※転移/転送
A地点からB地点まで、モノを飛ばすこと
スキルであれ魔技であれ、はたまた技術の産物であれ、簡単にはいかない
特に[ステータス]を保有する存在は、それを確立させたまま飛ばさなければならないので、保護も含め保有しない存在を飛ばすよりも厳重な仕込みが必要となる
逆に言えば、そうではない存在であれば比較的容易に可能となる……まあ、それでも難しいが
p.s. 無字×1013
腰痛に悩まされる作者です
アイデアばかり考えて、それが本編に反映されていなかったりします
また、ノベプラの短編準備などにも時間が使われていますね
…………落語ねぇ、しかも四千文字以上
全然思いつかないですが、それでも学生ぶりの夏休みの課題感覚で挑もうとしている作者でした




