錬金チャレンジ その22
始まった錬成陣による人造人間肯定派と否定派、双方の品評会。
三回戦で決められるその一つ目は、外見を観客に評価してもらうもの。
どちらの人造人間も容姿は素晴らしい。
だが一つだけ違いが存在しており──否定派の人造人間たちは、そのすべての目に光が灯っていないのだ。
「ふむ……二種類だね」
「何がでしょうか」
「彼らの、君たちの錬成陣を否定している側の人造人間だよ。一つは状況に応じ、指定された通りの動きを取るもの。まさに、理想のお人形といったところかね」
有り体に言うなら、それはプログラムが搭載されたAIのようなものか。
AであればB、といったような最低限の動きができる。
お人形と称したのは、人造人間である必要性を感じられないからだろう。
実は【人形師】が人形を操れば、似たようなことはできるからな。
「そしてもう一つ、こちらはある意味僕向けだね……死霊を使っているじゃないか」
「可能性自体は、錬成陣を開発する段階から話題にしていましたよ」
「死霊だからとすべてを切り捨てるのではなく、有用なコスト……たしかこの場合はオペレーター、だったかな? にする考えはとても素晴らしい。やはり、常識に囚われない休人たちの発想は刺激になるね」
人造人間に霊を憑依させ、代わりに体を操縦させる。
人造人間自体の意思を尊重する俺たちでは行わなかったそれを、否定派は実行した。
霊体自体が思考可能なうえ、人造人間にある程度知識を入れておけば、それを読み取り適した行動を取ることもできる。
──が、倫理的というかこの世界の常識からは大きく外れていた。
これがもし主流となったとして、何も起きないとは言い切れないんだよな。
「対する肯定派は自我を有し、彼ら自身の意思で動いているのが特徴だ。これはこれで、観客たちを惹きつけているようだね」
「目見麗しい女の子たちが、自分たちを見てほしいと主張しているわけですから」
「……ほぉ、そういうものなのかい?」
「少なくとも、自らの意思で立ち、作り手のために真摯に振る舞うその姿こそが、あのような場を生み出していると思いますよ」
だがそれは杞憂だと思っている。
なぜなら肯定派の人造人間の周りには、多くの観客たちが集まっていたからだ。
人造人間たちは各々、自分にできることをアピールしてそれを見せている。
そして心からの笑顔を浮かべ、自分たちに投票して欲しいと告げていた。
ある意味選挙だ……しかし、それを行っているのはアイドル級の美少女たち。
もうそれだけで結果は出たも同然──数十分後、肯定派の勝利が告げられるのだった。
※否定派の人造人間
1:それっぽい肉の器を用意します
2:制御用チップと雷魔法で信号を操作します
3:死霊魔法で霊体を憑依させます
──あとは死霊が動かすだけ、悪いことをしようとしても大丈夫、制御チップが強制的に行動を操作するよ♪
p.s. 無字×977
…………長い読書を始めた結果、読書の半分しかできない一日があった作者です
くっ、まさかギスオンの作者様が過去に書いた作品があんなにも面白いだなんて……
今と書き方(?)、作風(?)は違っていますが、それもまた楽しめます
いやまあ、伏線あった? みたいな部分はいくつもあった気はしますが、きっと優秀な読者の方々はそれらを乗り越えていったのでしょうね……作者には無理そうです
えっ、どんな内容かって…………それは自分の目で確かめてみよう!(ダイマ風)




