錬金チャレンジ その20
フィールドに現れた『忌創展概』、彼女は【超科学者】の力で生み出した宇宙兵器を使い──誰もがその轟音に視線を向けた。
その張本人は何事も無かったかのように大砲を亜空間へと仕舞い、こちらを見ている多くの者たちに声を掛ける。
「さて、静かになったね……それじゃあ、人造人間についての話し合い、そして実戦を始めてもらおうか。見届け人はこの僕、『星宝級職人』の『忌創展概』、そして──」
「冒険世界にて人造人間の錬成陣、その開発に携わりました……匿名希望です。この度、大変多くの方々にご購入いただけました錬成陣について、開発側からの補足がほしいとのことでして、お招きに応じました」
唐突の開幕ではあったが、嫌な予感はしていたので慌てることなく挨拶を行う。
なお、毎度のように偽装は何重にも凝らしているので、大半の連中にはバレないはず。
ただいつもの如く、どんな理不尽がここに居るか分からない以上、警戒は怠らない。
特に休人が多いと、何かの相乗効果で突破してくることがあるからな。
「さて、事情が分からない人たちのために、今一度説明を行うよ……匿名希望君」
「はい。事の発端は私どもが開発した、人造人間を誰でも創れるようになる錬成陣。しかし、同様の志を持つ方はこの世界にも居たようで、これの登場によってその方々の中で諍いが生じてしまった模様」
「そして、無視できないレベルまで騒動が発生してしまった。こうなれば、星の威の体現者たる僕のような者たちが出ざるを得ない。こうした場で、きちんとした解決を目指してほしい」
「ただし、我々はあくまでも見届け人。この場の提供、そして出た結論を知るだけです。強要はしません、皆様にとって納得のいく結果が出るよう言葉を挟ませていただきます」
そんなこんなで、人造人間に関する討論もとい闘(&)論が始まる。
──そうなんだよ、この世界だとそういう字になるんだよ。
◆ □ ◆ □ ◆
言い方はアレだが、魔物が蔓延る世界で求められるものはやはり強大な力だ。
スタンスや在り方など、いろいろと主義主張はあるだろうが……答えは存在する。
何はともあれ、最終的に結果が出るもの。
地道な努力だろうと禁忌だろうと、求められる成果を出すことさえできれば、それは過程のすべてを必要なこととして割り切れる。
それを今回の人造人間の話に当て嵌めるのであれば──他世界の、それも自分たちの研究を横から掻っ攫うような結果を出した錬成陣を、これから使うかどうかだ。
肯定側は──便利だし多少あるセーフティも普通に使う分には何も困らないからいいと主張し、反対側は──そのセーフティが今後悪用されないという保証はないと主張する。
まあ、前者はともかく後者の本意は違う。
要は気に食わないのだ、自分たちのこれまでが全部間違っている、とでも言わんばかりにまったく違う形で出来上がった錬成陣が。
だからこそ、多少の私怨混じりでも否定しようとしている。
……残念ながら、どんな時代にだってどんな場所にだってそういう連中はいるのだ。
※逸脱者の動員
本当にそうせざるを得ない時、また星の威を示す時に派遣される
そのため理論上、休人がやらかせばやらかすほどやってくる
……そうなった暁には、原人たちからの好感度も下落するだろうが
p.s. 無字×975
今回は早く起きれた作者です
少し前までとの違いが分からない……その要因は何なのだろう?
まあ、何だか頭痛がしたり眠気に襲われていたりするのですが……やることだけはきちんとやろう、とふにゃふにゃな意思で作業を行う作者でした




