錬金チャレンジ その16
暗躍街 中立域
人造人間錬成陣、その販売後の影響について当人たちに報告した。
特に重要なのは、休人の集団でそれを成そうとしていたクラン『ホムホムクラブ』。
もともとは科学技術で何とかしようとしていたが、それは失敗。
いつか死霊術でもやろうとしていたのか、などと話していたのだが……。
「──えっと、つまり?」
「お前たちの作ったヤツと、自分たちで作ろうとしていたヤツ。どっちの方が優れているかで揉めて、戦争になっているらしい」
「…………知らんよ、マジで」
錬成陣の使い方はシンプル、必要な材料を陣の上に置いて魔力を籠めるだけ。
先んじて魔道具で必要な素材は調べられるので、理想の容姿はある程度決められる。
自動的に出来上がる人造人間には、元『錬金王』製の擬似魂が組み込まれているので、周囲から情報をどんどん学習していき、使用者の望む行動を取れるようになっていく。
そんなパーフェクトな、自分たちの求めた理想の超上位互換みたいな存在が突如現れて世界に広まったのだ──当然、彼らはそれを調べようとした。
だが解析しても分かることは少なく、魂に関する部分はいっさい不明。
おまけに、実際に使って確かめると挑んだ者たちは挙ってその虜となってしまう。
「で、だったらはっきりさせればいいじゃないか、みたいな流れになったらしい」
「でも、まだ未完成だったんだろう?」
「派閥みたいなものがあるみたいで、あくまで人造人間を器として使いたい連中がそっち陣営になるらしい。ほら、お前らのヤツはそれができないだろう?」
「あー、たしかにな」
悪用を防ぐ観点から、人造人間を乗っ取り操るようなことはできないようにした。
強引にやることもできなくはないが、少なくとも無抵抗ではないので手間となる。
空っぽの器として、人造人間を求める連中からすれば不要な仕組みだろう。
精霊や霊体系の魔物を擬人化させる道具、みたいな認識なら分からなくもない。
なお、俺がエクリを操縦しているのも広義の意味では乗っ取りに該当してしまう。
……でもまあ、うちはあくまで一時的なものだからセーフセーフ!
「まあでも、本気の連中が居ないわけでもないんだろうが、それでも大多数は遊びか?」
「だろうな。このままだと何も残さないで全部お前さんらの功績になるだろうし、最後に今までの集大成を試したい、みたいな感じなのかもな。生産世界の方で、本格的に試すことになるそうだ」
「……へぇー」
「ただ、気になる点があるんだよ──錬成陣の開発者を招く、そういうウワサが流れているんだとか」
この場合、該当者は三人しかいない。
片や元、そしてもう片方も現『超越者』な特級戦力、外に出すことなど早々無い……そして一人、外に放り出したいヤツが居る。
……なんてことにならなければいいけど。
いったい何に祈れば、俺の細やかな願いは聞き届けてもらえるかな…………うーん、助けてルリ様!
※人造人間の活用方法
ある意味、『錬金王』が行ったように身代わりとしての用途も存在する
たとえ:DIY:製の万能薬と蘇生薬があっても不可能な不老不死、それを可能とする手段として人造人間を──自らとの適合率を限りなく100%に近づけた存在を生み出し、そこに自らを入れることで寿命に抗おうとする禁忌
まあ、その辺は予め想定されていたので、そういったことをしようとすると契約違反だったり錬成の際に仕込まれたギミックが発動して、失敗するようになっている
p.s. 無字×971
改めて、アルファポリスでも読んでもらえているのだなぁと実感した作者です
なお、当作品と自称偽善者は、カクヨム・アルファポリス・ノベルバにて投稿されています
……ノベルアップ+にも、転載しようかなと思ったことはあるんですけどね
またEHOを一から微修正、その反映をしていくようになれば、今度はそちらへの投稿もしていくと思います




