神聖術式の利点 後篇
神聖術式の中でも、回復系のモノは現在少しだけ不遇になってしまっていた。
……俺が薄めた蘇生薬や万能薬をばら撒いているので、利点が減っているのだ。
それでも、インストール自体は誰でもできるし切り替えもお手軽に可能。
検証を好む連中がすべての神聖術式を調べて、情報を開示するだろうな。
「……まあ、回復系については探せばいい感じのものもあるだろう。それこそ、単純な回復じゃなくて補正系でも出してくれてれば」
ただ減った生命力を補填するだけが、回復ではない。
傷の修復を早めるとか、状態異常に罹りづらくするとか、治すべき場所が分かるとか。
魔法や職業能力の中にはそれができるものもある、がそちらは適性が必要なもの。
何にでも適性のある休人はともかく、原人にはその当人に適性の有無がある。
それらを無視した神聖術式のインストールは、彼らにとってそれこそ信仰するだけの価値があるだろう…………いやまあ、これもある意味『運天の改華』があればいいけど。
「そうなんだよな……アレを使えば、更に回復系の神聖術式の価値がなぁ」
あらゆる【見習い○○】が開放される、それは休人だけでなく原人も同様。
求める系統の見習い職を育て切れば、必ずその一次職に就くことができる。
なので聖職者系統に就けば、少なくとも一次職には就いて回復系の術式が発動可能だ。
まあ、俺が【魔法士】に就いたときと同様に、その後の出力は当人次第なんだろうが。
「ううん……そろそろ、また職業の開放に専念しておこうかな? レベリングできる職業も増えてきたし」
人形たちと【人形師/傀儡師】による遠隔レベリングは定期的にやっているため、経験値はかなり蓄積している。
ただし、その方法は戦闘職に限り非戦闘職についてはまた異なる方法が必要となる。
なぜならそちらは戦闘でのレベルアップが見込めず、適した行動が必要だからだ。
そのため、【乗員】系統であれば乗り物を乗り回してもらっているし、【学者】系統であれば資料作りなどをしてもらっている……アイスプルには教える相手が少ないからな。
微々たる稼ぎではあるものの、それでも少しずつ経験値は稼げていた。
……俺自身が参加すれば、その速度が向上することは間違いない。
「いっそ、教え込む相手を用意して……アイスプルだと、ホムンクルス系の人造人間しか思いつかないな…………ほぼほぼ禁忌だからやらないけど」
もともと決めていることとして、可能な限り家族以外の人間は居れないつもりだった。
ただ世界の発展に人が必要ということもあり、偽装大陸を作りそこに招くことに。
そういった意味では、人造人間というアイデアも悪くはない。
……がそれをやった先駆者が、禁忌で凍結(物理)されていたからなぁ。
というわけで、前振り完了!
次回から中編ぐらいをお送りします
無字×956
ナンバリング修正版の更新が遅れてしまっている作者です
物があっても、時間が無い……仕事疲れに追われる日々です
少しでも意識を手放すと、そのまま気絶状態……って感じなんですよね
やはりアレか、例のサプリだろうか……




