小さな幸せ 前篇
新章突入です!
前話の出来事から、数日後ですね
神聖術式の流布は、失名神話の神々にお任せすることに。
これについては、逸脱者連中も使える……だからこそ、変化は劇的となるだろう。
あれからそれなりに経過している。
神聖術式がインストールできるよう、多くの者が『プログレス』をアップデートしている……効果が絶大だからな。
「──まあ、俺のヤツは全然使用者は現れないみたいだがな……やっぱり、“至行”だけだと利益が出づらいのかもな」
《はい。断トツの一位は奥様、それ以降はやはり複数の神格で神聖術式を流布している神となっておりました》
俺やルリ、そして失名神話の神々にように担う概念が一つだけという神は少ない。
それゆえに、神一柱につき複数の神聖術式ということもできる。
……おまけに複合版なんてものも作り、使い勝手を向上させているとのこと。
知名度1位のルリはともかく、単一概念を担う神々はお陰であまり使われていない。
「それでも、ゼロじゃないんだよな」
《はい。ただし、現状では検証用に一時的なインストールとなっています。正確な情報があれば、判断材料となるでしょうが……》
「まあ、それも全部ルリ一択になりそうだしな。まあ、俺としてはフリシアさんが作った神聖術式もいいと思ったけどな」
《“幸上”ですね……はい、旦那様とのシナジーを感じられるものでした》
フリシア──初期設定を担当してくれた女神様、彼女が担うのは小幸。
彼女の加護を持っている俺だが、これまで神聖術式を使うことはできなかった。
だがインストールして行う神聖術式は、その制限を無視して使用することができる。
そうして性能を確認できたのだが……何というか、そう癖が強かった。
「判定発生時、良判定な結果を向上できる。言うなれば、おみくじの吉を大吉にできるようなもの……これが魔物のドロップ判定にも使えたら、滅茶苦茶人気だったろうな」
言い方で分かると思うが、ただ運が良くなるわけではない。
それ自体は間違っていないが……その効果が発動する場所が問題だ。
スキルも職業能力もアクティブなものはすべて使っていない、身力の活性化も周囲が知覚しないような自然なレベル……そんな状態でのみ、その効果が発動する。
まあ要するに、非戦闘エリア内で何もしていないような場合ぐらいなのだ。
生産活動も索敵行為も全部ダメ、システムの力を使わない状態こそがベスト。
先のたとえで言うなら、街まで持ち帰ってきた魔物の素材を捌く時も効果は発揮せず。
納品する時、いつもより少しだけ並ぶ時間が短くなる……といった感じだろうか。
「そんな細かい縛りも、さして職業能力をアクティブにせず、スキルは鑑定だけ、操れるほどの身力も持っていない……何より気を緩めて死んでも困らない俺みたいなヤツだと、常時使えるぶっ壊れ効果になるんだよな」
なお、大凶が凶になるといった効果は無いので、ダメなときはダメ。
あくまでも良いものがより良くなるだけ、悪いものが良くなるわけではない。
だからこそ、俺にとっては都合がいい。
この世界は従来のゲームのように、全部が決まっているわけではない……当人の促し次第で結果を変えることができる。
──まあつまり、素の状態で良い結果が出るまで死に続ければ、いつかはいい結果になるということ……なんだろう、死に戻り系主人公の必需品みたいな神聖術式だな。
※術式名“幸上” 系統:神聖術
『発動起点:祝福/『プログレス』保持者』
『実行起点:女神フリシア』
『発動方法:神力の行使』
『実行内容:発動起点に対し、特殊状態を付与する』
効果:以降の本編にて公開
p.s. 無字×952
上記は分かる人には分かる、活動報告でご意見を貰いながら仕上げた情報を纏めるための大まかなカテゴライズとなります
……少し書き方を弄ったのは、ひらがなより漢字だというノリによるものなので、不評なら戻します
何がどういうことなのか分からない?
気になる方はぜひ、作者のマイページから活動報告をご覧になってください




