天界外周調査 その09
思い出話から、彼らが外の世界──特に未知の景色に憧れていることを知った。
それを得るため、彼らは『プログレス』を三つ購入することを選んだのだ。
「──こちらです。それぞれ腕輪、首輪、指輪の三種類にしておきました。ご確認後、お納めください」
移植型は基本的に腕の辺りで固定だが、装備型ならば装飾具としてどこでも装備可能。
最低限、機能できるだけの触媒がくっついていればいいからな。
どれもデザイン性は重視しておらず、遠くからでは着けているかすら分からない。
触媒となる宝石は目立つかもしれないが、こちらの世界だと実用性で誤魔化せる。
「……問題はない。だが一つだけ、聞いておきたいことがある」
「何でしょうか」
「この『プログレス』、並大抵の技術では生み出すことができない代物だ。これを地上の世界の者たちは、一から作り上げたのか?」
「いいえ。製作者は不明ですが、多くの者がその解析を行っています。それによると、どうやら神代以上に古く、そしてこことは異なる世界で生み出された物、ということぐらいは明らかになっていますよ」
「そうか……」
願望機は冒険世界由来のものではなく、またいつの時代から在るかも不明。
その劣化版たる『プログレス』には、一部その技術が転用されている。
俺とて:DIY:が補助してくれたからこそ、願望を汲み取り擬似権能として発現させるなんて謎技術を確立させられたぐらいで、それが無ければ不可能だっただろう。
そのうえ、徹底的に重要な部分の解析はできないようにしてあるからな。
……あと、結局全部を暴けても意味がないところまである。
今はその根幹を、女神プログレスが担っているからだ。
彼女の力が行き届く範囲では、模倣しても大した代物にはならなくなるからな。
「ここへ、この三台以上に『プログレス』を持ち込むことはできないのか?」
「できるかできないかで言えば可能ですが、何分地上でも需要が多く……来るたびに確保している、というのは難しいですね」
「──なるほど」
装置に初期プログラムをインストールしておくだけなので実際には簡単だが、そのお手軽さはあくまで俺たち基準。
遺跡の中の戦力全員分、と言われてもまあ今すぐにだって用意できなくはない。
がソレをした時、彼らが何をするのかまだ分かっていない現状では控えている。
「では、『プログレス』以外の品も改めて拝見させてもらおう。どうやら、気になっている者たちも居るようだからな」
「おお、それはぜひとも! どれも一級品であることは保証しますよ!」
ここからは特に大きな問題も起きず、いくつかの商品を買ってもらうだけで終わった。
お代については物々交換、そして情報を少し貰う形にしてある。
──そして、また来ることができるように証となるアイテムを貰い、俺は一度この遺跡から去るのだった。
※装備型の利点
装飾具として、機能するならどこでも問題ない点
移植型は場所がほぼ確定なので、一部の封印・抑制系の能力をピンポイントで受けた場合、使えなくなる可能性が高くなる
どこかで書いたが、某作品よろしく物質型だと移植型だろうと装備型だろうと補正が無くなる
装備型の場合は非物質型でも装飾具を壊された時点で同様の状態となる
そして、重要な点
装備型である利点はそうした点ではなく──着脱可能なところ
それはつまり、擬似権能にリソースを常時使用されないということ
要するに、それ以外の方法で権能を得たうえで使うと……
ただし、逸脱した連中は発現不可能なものとする
p.s. 無字×937
自称偽善者の感想(半分ぐらい誤字脱字報告)を見ながら、過去を振り返り……稚拙さに羞恥心が全開な作者です
嬉し恥ずかし、そんな心境
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